監督の真価が試される勝負の夏到来!

 一方、そのハムを猛追するのが、最多9度目の交流戦優勝のソフトバンク。一時は最下位にまで転落した歴史的な開幕大コケから、一気にV字回復してみせた層の厚さは、さすがだ。

「とはいえ、そこに関しては、近藤健介(31)や栗原陵矢(29)といった故障者が戻ってきた、というのが一番の要因。先発として売り出し中の若手左腕、前田純(25)や松本晴(24)らも、ブレイク必至の有望株として、名前は挙がっていましたからね」(全国紙運動部記者)

 むろん、あれだけの巨大戦力があれば、誰が監督でも、ある程度は戦える。識者の多くが「小久保裕紀監督(53)も頑張ってはいるが……」と、歯切れの悪い物言いになるのも無理からぬところではあるだろう。投手コーチの経験もある藪恵壹氏が解説する。

「救援失敗の続いていたクローザーのオスナ(30)に再調整を命じたまではよかったが、次を誰にするかは不透明なまま。候補の一番手が杉山一樹なら、“彼でいく”と、そこは明言してやらないと意味がない。結果が悪ければ、また代えればいいだけのこと。戦力的にも他より恵まれたチームの将であれば、なおのこと、そのあたりの機微には、もっと敏感であってほしいとは思うかな」

 そんな小久保監督を尻目に評価を上げているのが、新人監督であるオリックス・岸田護監督(44)と西武・西口文也監督(52)だ。

「投手出身の岸田監督は、打撃面にはほぼノータッチ。思い切りの良さが功を奏して、リーグ2位の好位置につけている」(専門誌記者)

 また、西武は、91敗を喫した昨季の勝利数を早くも超える大躍進を見せている。

「生え抜きコーチが多かったが、ヘッドの鳥越裕介コーチや、野手チーフの仁志敏久コーチといった外の血を入れたのが功を奏した。投手出身の西口監督が、野手起用に関してヘンに“我”を出していないのも好循環の要因だろう。指導者も定期的に血の入れ替えをしないと、練習法一つを取っても凝り固まる。引き出しは多いに越したことはないからね」(藪氏)

 もう1人の新人監督、楽天の三木肇監督(48)は、「身売り説の浮上する球団で、上位チームに食らいついているだけで立派」(前出のデスク)との評も。

 各監督の真価が試される、勝負の夏がやって来る――。

■監督通信簿 パ・リーグ編

   監  督  名    総 合  采 配 育 成      寸 評                     
新庄剛志(日)                監督就任1年目から若手の育成に積極的だったが、それが結実した形。大胆な選手運用で勝ち星を重ね、名将の風格が漂い始めた。
岸田 護(オ)       2軍投手コーチから大抜擢された岸田監督だが、攻撃面はコーチ陣に一任。餅は餅屋の割り切った采配が功を奏し、ペナントを善戦。
西口文也(西)       屈辱の91敗を喫したチームを戦えるチームに。投手陣の運用と、西川&滝沢の1・2番コンビ、4番のネビンを軸にした打線の再編成も高評価。
小久保裕紀(ソ)            交流戦を優勝したものの、選手との間に壁があるともっぱら。戦力的には日ハム以上といわれるだけに、今の順位では寂しいところ。
三木 肇(楽)      

セ・パ両リーグのファームを渡り歩いた苦労人指導者。身売り説も浮上する球団で、チームの若返りに意欲的。勝負は来季以降か。

吉井理人(ロ)       コーチ時代から投手育成に定評はあったが現在、チーム防御率は最下位。サブローの1軍ヘッドコーチ就任は監督交代への布石とも!?