■『放送局占拠』の気になる経費削減

 また、放送前に“占拠シリーズ”の過去作『大病院占拠』と『新空港占拠』をまとめた相関図と、今までに明らかとなった事件の年表が公開されたが、おそらく誰も参考にしていないだろう。ただ、その大げさなところがすでにネタになっていて、煽りが上手いのはさすが。放送当日はXで“ツッコミまつり”になることは確実だ。

 ひとつ気になるのは、放送局を舞台にしたこと。撮影は自社の社屋を使えばいいので、大幅な経費削減になるだろう。各民放テレビ局が制作費の削減に苦しんでいる中、これはナイスアイデアといえるのだが、ひょっとすると、浮いたお金でチープだったCGがクオリティアップしてしまうかもしれない。これはマズい。

 実際、予告動画で見られた爆破シーンが、前2作に比べると妙にちゃんとしていた。“占拠シリーズ”のCGが本格的でリアルなものになってしまっては、トンチキを期待するファンとしては興ざめだ。制作陣も、そのツボは心得ているはずなので、ぜひチープさに徹してほしいものだ。

 日本テレビのドラマは、前期の水曜ドラマ『恋は闇』、土曜ドラマ『なんで私が神説教』、日曜ドラマ『ダメマネ!-ダメなタレント、マネジメントします-』が揃って苦戦するなど、ここのところ不調続きなので、トンチキドラマ『放送局占拠』が救世主になりそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。