■リアルな描写が胸に響く『明日はもっと、いい日になる』

 福原遥は真っすぐで真面目なキャラが本当に似合う。似たキャラとしては、『正直不動産』シリーズ(NHK)で演じた、新入社員・月下咲良が思い浮かぶが、今回はその頃よりも、胸の奥にある様々な感情まで伝わってきて、明らかに表現力がアップしている。林も繊細な演技が素晴らしく、2人のやりとりだけでずっと見ていられる。

 また、ドラマの内容も評判が良く、X上では《丁寧で、しっかりしてて良かった!キツい題材やけど児相のメンバーとそのキャラに救われる》《描かれるのは“事件になる前の現実”。親の葛藤、こどもの心の声、そして支援する側の苦悩――。仕事・家事・育児に追われる親たちのリアルが胸に刺さる》などと称賛されている。

 なんとなく知ってはいるけれど、実際のことはよく知らない児童相談所が今回の舞台。同枠で消防局の通信指令センターを舞台にした、今年1月期のヒット作『119エマージェンシーコール』と同じ路線のようだ。ただ、本作は「こんなことが起きている」と訴えるだけでなく、デリケートな親子の問題にまで踏み込んでいて、制作側の誠実さを感じた。この踏み込み具合は、『119』にも通じる。

 最近の月9ドラマは、前期『続・続・最後から二番目の恋』が全話平均視聴率7.7%、前々期『119』が7.6%とハズレなし。23年7月期『真夏のシンデレラ』など、全話平均視聴率が5%台で迷走したと思える作品もあったが、ここ数作で完全に“月9”ブランドが復活した。『明日はもっと、いい日になる』も話題作になりそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。