■誰袖・福原遥の悲劇は瀬川以上か

 X上には、《どうしたって史実は変えられんのおぉぉ…!?佐野家の過去のエピが畳み掛けてくる!また田沼家がやらかしたことの点と点を繋げて裏で糸を引いてる一橋様の傀儡ぶりったらないよ。次回までこの辛さは続きそうで胃が痛い…》などと、壮絶な因果応報の展開に悲鳴のような声が多く寄せられていた。

 うなるほど森下氏の脚本構成が巧みな回だった。誰袖の身請けをどう意知にさせるのか注目されていたが、表向きは勘定組頭・土山(栁俊太郎/34)の妾ということにする、身代わり身請けのアクロバット。政言をそそのかす武士が、以前、丈右衛門と名乗って平賀源内(安田顕/51)に近づいた男で、源内と親しかった田沼親子と因縁があったというのも、周到すぎる。

 ラストは、念願がかなって身請けが決まり、幸せそうな笑顔で桜を見上げる誰袖と、江戸城で政言が意知に斬りかかるまでを、交互に映し出す衝撃シーンだった。次回は、田沼親子と誰袖がどん底に落とされる地獄展開が待っているはずで、意知を失った誰袖が、形としては土山に身請けされるという、その悲劇性は瀬川(小芝風花/28)以上かもしれない。

 また、X上に《意知くん…予告で覚悟はしていたけれど、やっぱりしんどい!! 誰袖の花魁じゃない着物姿が美しくて悲しい》など、早くも意知ロスを心配する声も。瀬川、源内とロスは続いたが、今回も落ち込む人が多そうだ。7月20日は選挙特番で休みだが、中盤の山場となる第28話は見逃せない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。