日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが“乗った・乗りたかった”あの一台をプレイバック!

乗用車感覚の内外装がSUVの流れを変えてブームをもたらした

■三菱のブランドイメージを確立した人気車

 三菱パジェロは後輪駆動をベースにした4WD(4輪駆動)を搭載する悪路向けのSUVだ。三菱のブランドイメージを確立させた車種でもある。特に注目されるのは、1982年に発売された初代モデルだ。

内外装がシンプルな初代と1991年に登場した2代目パジェロは、希少性が高く、程度の良い車両は価格も200~300万円に達する。

 当時の4WDは、建設会社などが使う作業車で、一般ユーザーはあまり購入しなかった。ところが初代パジェロは乗用車感覚が強く、発売時点では4ナンバー車のみだったが、1983年には5ナンバー車を加えた。水平基調の外観は、無骨な印象を抑えてカッコ良く、インパネなどの内装も上質に仕上げた。

インパネは乗用車感覚で上質だ。インパネ中央の最上部には、悪路で便利なボディの傾き方を示す傾斜計、油圧計、電圧計が並ぶ。
前席には、悪路走行に対応して、乗員に振動を伝えない緩衝装置が採用されていた。前席の中央には、シフトレバーと副変速機のレバーが備わる。

 エンジンは実用回転域の駆動力が高く、燃費も良好な2.3Lディーゼルターボが人気を得た。初代パジェロがヒットすると、トヨタランドクルーザーや日産サファリといった既存のSUVも乗用車感覚を強めて、このカテゴリーの流れが変わった。そして今では、日本で販売される小型/普通乗用車の40%がSUVになった。

スペアタイヤはリヤゲートに装着される。重量物がボディ後端の高い位置にあるから、安定性では不利だが、荷室を狭めないメリットがあった。