日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が、本サイトで現代のトレンドを徹底解説。物価高が続くこの時代に戸田氏が注目するのは、“金券ショップ”だ。

 かつてないほどの物価高のこの時代、家計のやりくりに苦労する人が増えています。値上げの波は食料品から光熱費、交通費までじわじわと押し寄せ、気づけば財布から出ていくお金がかつての倍近くになっていることも珍しくありません。そんな中、密かに「救世主」として注目されているのが、街中にひっそりと佇む金券ショップです。

 節約と聞いてまず浮かぶのは、ポイント還元やクーポンの活用などの「ポイ活」でしょう。しかし、それ以上に“現金の力”を最大限に引き出す場所として、金券ショップの存在感が増しています。現金を使うからこそ成立するこの節約術。物価高に打ち勝つための知恵が、そこに詰まっているのです。

 まず紹介したいのが、金券を使って生活費を削るテクニック。スーパーやホームセンターで使える商品券は、数百円から数千円単位の割引で販売されています。中には、食料品や日用品だけでなく、愛犬のためのドッグフードまでも金券で購入し、日々の節約を徹底したり、おトクに買ったチェーン店のカードなどを使って、お店のポイントまで大量ゲットする“金券×ポイ活”の達人もいるそう。

 また、交通費の節約に金券を活用する人も目立ちます。たとえば、東京メトロの24時間乗車券を割引価格で手に入れて、安いスーパーを巡る「節約ハシゴ買い」をすれば、交通費も浮き、安い食材も手に入って一石二鳥。人気なのが、私鉄の株主優待乗車証や、新幹線の割引チケットで、新宿〜小田原間の移動が片道470円もおトクになるケースもあり、旅行・出張などで移動が多い人にとって、その差額はバカになりません。

 さらに、金券ショップは“心遣い”をカタチにする場所でもあります。感謝の気持ちを込めてビール券をプレゼントしたり、クオカードやお花のギフト券なども贈り物に選ばれることが多く、誕生日や父の日、母の日などのちょっとした節目に活用されています。自分で使うより、ギフトとして選ぶと「節約」と「喜び」が両立できるのも金券ショップならではの魅力です。

 店内を覗けば、お米と交換できるギフト券やうどんチェーン店の食事券、高級懐石料理が1万円もトクになる観光会社の株主優待券など、日常使いに便利なものから、思わず「こんな使い方もあるのか」と驚くような活用法まで実に多種多様な金券が並んでいます。