■防御率1点台の投手が続出する理由!! ファン驚愕投高打低ペナント裏事情

 前半戦終了時点で、セ・リーグの3割打者は0人と、近年顕著な“投高打低”が、今季はさらに進行中だ。

「7月末の時点で、2割8分から9分の間に、近本光司(30)ら7人がひしめくダンゴ状態。規定打席未到達の“隠れ首位打者”も現状はいない。3割未満での首位打者誕生となれば、もちろんプロ野球史上初の珍事です」(専門誌記者) 

 さらに言えば、打撃ランク上位には、本塁打・打点の二冠を快走中の佐藤輝明(26)の名も。このままでは、打率3割未満、40本塁打未満、100打点未満という、微妙な“三冠王”も現実味を帯びてくる。

 前出の伊原氏が言う。

「ONのお二人も、まだ現役バリバリだった我々の時代は、常時140km台が出れば速球派。変化球にしたって、せいぜい3種類ぐらいしかなかったしね。加えて、今はアナリストによるデータ分析なども盛んで情報も過多。打撃を教える側が、それに対応しきれていないという側面もあるような気はするよ」

 確かに昨今では、大リーグで使われるバレルゾーンやバレル率といった用語も、広く一般にまで浸透済み。高校球児がユーチューブ動画を参考に練習するのも、当たり前になりつつある。

「先日のフレッシュオールスター戦でも、ただ振り回すことがフルスイングだと勘違いしている若手が目についた。格好ばかりで本質を分かってないんだよ。大谷翔平だって、一見アッパースイングのようだが、実際はそうじゃない。いかにコンタクトをするかってことを、もっと考えないといけないよ」(伊原氏)

 そんな伊原氏が「お手本にすべき」と例に挙げるのが、西武監督時代の頼れる4番、中村剛也(41)だ。

グラウンドにちょこん。 柔軟中の中村剛也
投高打低を打開するのは中村剛也のような打撃技術 ※埼玉西武ライオンズ公式instagramより

 実際、飛ばない統一球に大多数の打者が苦しんだ11年シーズンにも、48本塁打と異次元の技術力を発揮。

「ヤツの打撃を見れば、フルスイング=力任せじゃないことは一目瞭然。ああいう柔らかい打撃を、身をもって教えてやれる指導者がもっと増えたら、今のこの状況も、少しは好転するとは思うけどね」(伊原氏)

 これほど顕著な投高打低でも、ことNPBでは年俸ランキングの上位を占めるのは、ほとんどが打者。推定4億円以上とされるベスト10も、有原航平(32)を除き、すべてが打者なのだ。

「高年俸に見合った働きができなければ、今季の山川穂高(32)のように当然、風当たりは強くなる。彼らの多くは複数年契約を結んでいますから、このオフ以降は、契約年数や年俸査定にも地殻変動が起きるかもしれません」(専門誌記者)

 ちなみに目下、両リーグの防御率トップは、巨人の山﨑伊織(26)の1.07。

 1970年の村山実以来、戦後2人目。0点台でのタイトル獲得なるかも、大いに注目したいところだ。