日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回注目したのは、20代から注目を集めている職業“マグロ遠洋漁業”について。

 ひと昔前まで、「過酷な労働現場」というイメージが強かったマグロの遠洋漁業ですが、今年5月にテレビ朝日の報道番組で、「20代で年収1000万円も可能」「若者が殺到」といったキャッチーな見出しで紹介され、大きな話題となりました。

 SNSやYouTubeを通じて漁師たちのリアルな日常が次々と発信され始めたことで、かつてのマイナスイメージが徐々に薄れ、海での仕事に対する関心が急速に高まっているんです。

 先日、東京で行われた漁業就職支援イベントに参加した若者たちからも「漁船の仕事はかっこいい」「海の上での自由な生活に憧れる」といった声が多く聞かれ、漁師という職業の持つ魅力が再評価されつつあるんです。

 事実、宮城県では、新卒で遠洋漁業を選択する若者が昨年度の4倍にも急増。

 基本給が他業種の倍以上に設定されていること、さらに船に乗っている間は家賃や食費がかからないため、しっかりと貯蓄ができるという経済的メリットが背景にあるようです。

 1年目から、年収500万円を稼ぐケースが多く、こうした安定した収入と貯蓄環境が若者を強く惹きつけています。近年では水産高校出身者だけでなく、大学生や異業種からの転職希望者も増加し、多様な人材が漁業界に流入しているのも大きな特徴となっています。

 船内の生活環境は想像以上に改善されており、個室にはベッドや布団クリーナーなどの最新家電が揃い、睡眠も快適。

 さらには、衛星通信を利用したwi-fi環境も整備されているため、長期間の航海中でもインターネットが使え、仕事の合間の自由時間は陸地となんら変わりません。

 さらに、全国各地の寄港地での買い物やその土地ならではの食文化を味わうなどの楽しみも豊富です。