日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが“乗った・乗りたかったあの一台をプレイバック!

技術の日産を蘇らせた渋い雰囲気のスポーツセダン

■クラウンの後追いをしないクルマ造りで大成功

 初代日産セドリックは1960年、初代プリンスグロリアは1959年に発売された。その後に両メーカーが合併して、1971年に登場した230型から、セドリックとグロリアは共通のクルマになった。さらにフルモデルチェンジを重ねたが、ライバル車のトヨタクラウンに似たクルマ造りが災いして人気が低迷する。そこで営業部門出身の異色のチーフエンジニア、三坂泰彦氏は、Y31型セドリック&グロリアを思い切ってスポーティ路線に変更した。

5ナンバーサイズのボディY31型セドリック&グロリア

外観は堂々とした印象

 主力グレードも豪華なブロアムではなく、高性能なV型6気筒2Lターボを搭載するグランツーリスモSVだ。フロントマスクはボディをワイドに見せるデザインで、ブラックを基調にシンプルに仕上げた。足まわりは硬めの設定で良く曲がり、峠道を攻める走りも楽しめた。当時は同じ日産のスカイラインやシルビアも走りの良さで人気が高く「技術の日産」を改めて実感させた。

インパネ
機能的に配置され操作しやすいインパネ

 標準ボディは5ナンバーサイズだが、外観は堂々とした印象だ。この時代の高級セダンは、運転のしやすさと風格のあるデザインを両立させていた。

 今日のインパネのようなドライバーを囲む形状ではないが、ATレバーやスイッチは機能的に配置されて操作しやすい。メーターの視認性も良い。

スポーティな走りに対応したシート
スポーティな走りに対応したシート

 車両の性格に合わせて、シートの座り心地も変わった。従来型は柔らかい印象だが、Y31型は腰を確実に支えてスポーティな走りにも対応できる。

 Y31型セドリック&グロリアの中古車は、年式も古く流通台数が限られる。中古車価格は150〜250万円だから、さほど割高ではないが、購入時には車両の状態を入念に確認したい。

Y31型セドリック&グロリア
中古車価格は150〜250万、さほど割高ではない