日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今、戸田氏が注目するのは多角化するペットビジネスの実情だった。
近年、ペット、とりわけ犬に対する飼い主の関心が高まり、関連ビジネスが拡大しています。
大型のペットショップでは約1万種類の商品が並び、犬関連の商品が全体の7割ほどを占め、鹿肉や牛の骨などの無添加・無着色の自然食材を使ったおやつ、犬用総菜、毛並みを良くする漢方、関節痛を和らげるサプリ、高級スキンケアオイルなど、飼い主の健康志向と連動した商品が目立ちます。価格は高めですが、多くの飼い主は愛犬の健康や生活の質を最優先に考えて購入しているということでしょう。ペットの保険を提供するアニコム損害保険会社が行った調査によれば、犬の年間飼育費は平均で約34万円と言われ、けっして安くはありませんが、愛犬を家族同然として扱う傾向は依然として強く、食事や日常のこだわりは生活の重要な一部になっています。
特に注目されるのは、ペット連れ宿泊に特化したホテルの人気です。全国でペット同伴可能な施設の需要が高まる中、客室稼働率が90%を超える施設もあり、愛犬と一緒に朝食や夕食を楽しめるサービスが整っています。犬専用のコース料理や豪華な夕食が提供され、部屋の設計も犬ファーストで低めのベッドフレームや滑りにくいフローリング、畳の使用など、愛犬が安全に自由に動ける工夫が施されています。こうした施設は、犬を単なるペットではなく家族の一員として扱い、飼い主と共に過ごす時間を最大限楽しめる点で非常に魅力的です。