相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
大相撲秋場所初日が迫ってきた。夏巡業中、大の里、豊昇龍の両横綱が稽古に励んだかと問われると、「?」マークが付く。豊昇龍に関しては、途中から参加したものの、終盤で古傷の肩を負傷してしまった。
6日に行われた「横綱審議委員会稽古総見」で、存在感を見せていたのは、関脇・若隆景。大関取りは、昇進ムードに左右される場合もあるから、そうした場でアピールするのは大事なこと。元気のいい相撲を取っていれば、10勝(本来なら11勝以上で大関昇進が可能)でも、上げちゃうかもしれない。オレは、大関昇進の確率は80%と見る。
そして、名古屋場所で平幕優勝を遂げた琴勝峰も、注目力の一人だ。
オレの三男・王鵬とは高校(埼玉栄高)の同級生で、ともに相撲部で切磋琢磨してきた仲だ。当時から柔軟性のある体が魅力だったけど、受け方が悪い。(埼玉栄高相撲部の)山田(道紀)監督は、そういう面は教えられなかったんだろうなぁ。あと、再三注意しているように、脚が内側に入るクセがあるので、ケガが怖い。
秋場所は前頭5枚目に躍進して、連続優勝の期待もかかるけど、前半勝ちこめば、横綱・大関陣と総当たりになるから、簡単にはいかないだろう。おとなしい性格で、「オレが! オレが!」という積極性が足りないところも気になる。初優勝をキッカケに、どう変わるか、見ものではある。
さて、前回は、佐渡ヶ嶽部屋でのイジメ事件のその後について触れたが、他にも角界の醜聞は絶えない。
元前頭の照強が、偽の駐車禁止除外指定車標章を使ったとして、逮捕されたのだ。本人も「カラーコピーで偽造した標章を使った」と認めているが、標章は、すでに亡くなった人物の名義で登録され、発行日や期限も偽造されていたという。