日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが“乗った・乗りたかったあの一台をプレイバック!

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■8年ぶりに最高出力を更新した憧れのクーペ

 日本車の走行性能は、1960年代に急速に進歩したが、1970年代の中盤に伸び悩んだ。厳しい排出ガス規制が実施されたからだ。

 しかし1980年頃にはパワーダウンも克服され、動力性能が再び高まり始めた。その先頭を走ったのが1981年に発売された初代トヨタソアラだ。

 直列6気筒2.8Lエンジンは、最高出力が170馬力に達する。それまでの日本車の最高出力は、VIPカーのトヨタセンチュリーと日産プレジデントが搭載するV型8気筒を除くと、1973年に終了した日産スカイライン2000GT-Rの160馬力が上限だった。

 わずか10馬力だが、8年ぶりの最高出力更新が話題になった。

 初代ソアラはほかにも注目点が多い。

 主力グレードにはデジタルメーターやマイコン制御のオートエアコンなどが装着される。運転席には、手動の空気ポンプを使って腰の張り出し方を調節するエア式ランバーサポートも採用した。

 当時は「ソアラを開発した会社だからトヨタに就職したい」という学生も多く、憧れのクルマであった。

初代ソアラ トヨタ
端正な雰囲気が特徴

 日本のクーペでは、居住空間とトランクスペースを明確に区分するセダン風のデザインが高い人気を得ている。端正な雰囲気が特徴だ。

エレクトロニックディスプレイメーター
エレクトロニックディスプレイメーター

 エレクトロニックディスプレイメーターは、針のないデジタルタイプだ。設定した速度に達するとアラームが鳴る機能も備えていた。

 シート生地はグレードに応じて毛足の長いファインラッセルやモケットが使われ、メーカーオプションで本革も選択できた。

シート
オプションで本革も選択可能なシート

 初代ソアラは生産を終えて約40年が経過するが、その割に中古車の流通台数が豊富だ。希少性が高く憧れた人も多いから、中古車価格は300〜500万円。部品の供給体制に注意したい。