■“自分を投影できるキャラ”を見つけられる『コッチモフレンズ』
疲れた現代人に寄り添うように響く楽曲が持ち味のこっちのけんとだが、前出の新曲『ごくろうさん』にもある仕掛けがあるようだ。
「MVには、こっちのけんと自身を投影したキャラクター『コッチモフレンズ』が登場します。緑のたぬき・コッチモとその友達の4匹のキャラクターで、愛らしい姿に癒されます。ファンの間では馴染みのキャラとうこともあり、MV公開と同時に反響を呼びました」(前出の音楽雑誌ライター)
この『コッチモフレンズ』たちは、今年5月14日に公開された楽曲『それもいいね』のMVにも登場している。前出の藤田氏が解説する。
「元気いっぱいで推し活好きのひつじ・アッチモ、ひとり時間が好きないぬ・ソッチモ、我が道をいくチンチラ・ドッチモは性格も生き方もバラバラ。ただ、観る人全員が“自分を投影できるキャラ”を見つけられるのが不思議です。なぜか共感性の高い癒やしがあるんですよね」
『それもいいね』MVの反響を受け、『コッチモフレンズ』公式SNSでは9月2日より、4匹の日常を描いた4コマ漫画が連載されている。
「その可愛さに癒やされるのはもちろんですが、特筆すべき点は“4匹の個性がまったく否定されない”ころ。
待ち合わせに遅刻したり、休日だらけてしまったり、落ち込んでしまうような出来事も受け入れられる──そんな世界観に、“自分もこれでいいんだ”と読者は肯定されるんです。その癒やし効果は話題を呼び、子供たちや10代20代の若い女性たちの間でも、音楽以外のアプローチでも“こちけんワールド”が広がっています」(前同)
音楽のみならず、さまざまな形の発信で人々の共感を呼び続けるこっちのけんと。活躍のフィールドを広げながら、これからも我々を癒やし続けることだろう。
藤田太郎(ふじた・たろう)
大学時代にイントロクイズの全国大会で優勝。3万曲のイントロを最短0.1秒で答える男として『マツコの知らない世界』や『ヒルナンデス!』など、数多くのテレビ番組に出演。TOKYO FM『ももいろクローバーZのハッピー・クローバー!TOP10』では構成作家、日本初のクイズ専門店『ソーダライト』ではイントロクイズプレゼンター(出題者)として活動中。イントロマエストロという肩書で、イントロをメインに曲を紹介する音楽評論家。