■期待したいマリコ様人気

 情報犯罪と法医学と内容こそ違えど、『絶対零度』は『科捜研の女』に、というか、二宮奈美はマリコ様にかなり寄せているように思われる。ファン歴が長く熱心な人が多いマリコ様ファンも、これなら違和感なく見られるはずだ。

 視聴率は、『科捜研の女』の最新のシーズン24は全話平均が7.3%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)。リアルタイム視聴に強いと言われているテレビ朝日のドラマにしては今ひとつに思えるが、月9ドラマの前期『明日はもっと、いい日になる』の全話平均の5.6%をはるかに上回っているし、GP帯ドラマとしても十分な数字だ。

 テレビ朝日の連続ドラマは、『科捜研の女』のほかにも『相棒』や『緊急取調室』などシリーズものが強く、視聴者の年齢層が高めでリアルタイムで視聴する人が多い。最近、大手企業のスポンサーが戻りつつあるフジテレビは、テレビ朝日で人気だった沢口の起用で、手堅く数字を取り、スポンサーからの広告収入に弾みをつけたいのだろう。

 最近のドラマ視聴は若者を中心に配信サービスが普及しているが、広告収入となると、フジテレビは単体でのCM売上高が約400億2500万円で、無料配信によるCM売上高は9.9億円(22年度第1四半期)と、リアルタイム放送のほうが圧倒的に多い。視聴率に強いマリコ様の移籍は、フジを救うかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。