日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は令和世代仰天の「昭和のエンタメ」を深掘りする。
昭和の常識と令和の常識を比べると、その差に驚かされることは多いのではないでしょうか。
今年6月15日に放送されたTBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』では、出演した田原俊彦が女性アナウンサーに対して下ネタ発言を繰り返したとして、大炎上。ただ、リスナーからは、ひと昔前はこれが常識、田原も自身に求められる役割を果たしたまでと擁護の声もあがり、世代間格差が浮き彫りとなりました。
事実、今では考えられないような叡智…いや、えっちすぎる習慣や文化が当たり前だった時代が存在したのです。
まず、学生時代の情報源といえば、ネットではなく深夜ラジオでした。当時は、テレビやラジオの規制が今ほど厳しくなく、深夜に放送されるラジオ番組では、読者投稿によるちょっとえっちなネタやパーソナリティによるセクシートークが展開され、中高生はこっそりと情報や知識を吸収していたのです。布団にくるまりながら聞く深夜ラジオは、今では味わえない独特のワクワク感があったのではないでしょうか。
ラジオは安価で、勉強の邪魔にならず、家庭にも複数台置かれていることも多かったため、子供の学習環境にも自然に溶け込んでいました。
現代ではスマホやネットが初めての知識源になっていますが、あの夜のひそやかな時間に耳を傾けた記憶は、昭和ならではの体験と言えるでしょう。
テレビ番組もまた、現代の感覚からするとえっちすぎる常識の宝庫でした。深夜番組では、大人向けの映画や風俗情報、セクシー女優の紹介などが普通に放送され、かたせ梨乃や由美かおる、飯島直子など大物女優がブレイクするきっかけにもなった人気番組「11PM」では、風俗業界の情報やお色気シーンが日常的に扱われていました。
芸能人水泳大会もその代表例で、当初は競泳の記録を競うだけの内容でしたが、しだいに女性タレントの水着姿をいかに映すかが主題となり、浮島に登る姿を後ろから撮影したり、水中カメラで追いかけたりする過激な映像が定番になったのです。騎馬戦ではブラがずれる「ポロリ」が目玉となりましたが、これはもちろんヤラセで、無名タレントを使った演出であったのもまた昭和らしい計算された演出でしょう。
こうしたお色気路線は1990年代以降、アイドル事務所の管理やコンプライアンスの意識から減少していきましたが、当時はテレビも公然と性的描写を扱える時代だったのです。