■『良いこと悪いこと』は30代視聴者をつかめるか

 社会現象的ヒットとなった『不適切にもほどがある!』(TBS系)では、コンプライアンスなどの昭和と現代の違いが描かれ、50代の視聴者を中心に話題になった。また、『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)も、定年退職や家族の問題など、50~60代のリアルが描かれ、同世代の支持を得た。

 昭和世代の次は平成ということで、本作が平成に多感な時期を過ごした30代視聴者を意識しているのは間違いない。ただ、昭和と違って平成はそこまで遠くない。昭和ほど現在とコントラストはないため、ドラマのネタとして話題になるかどうかは微妙なところだ。

 スタッフ陣にも未知数なところがある。プロデューサーの鈴木将大氏は『GO HOME ~警視庁身元不明人相談室~』、演出の狩山俊輔氏は『だが、情熱はある』、長野晋也氏は『街並み照らすヤツら』(すべて日本テレビ系)と、正直、あまりいい数字は残していない。さらに、脚本はGP帯連ドラを全話担当した経験がないガクカワサキ氏を抜擢。絶対に面白いはず、と言い切れない布陣なのだ。

 内容について公式からあまり情報が出されていないというのもあるが、始まってみないと、正直、なんとも言えない。考察+平成カルチャーの融合という試みから、どんなドラマが生まれるのか、注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。