■「ふざけた話」「我々メディア業界で働く人全員に迷惑」元キー局Pも憤怒
さらに、高須クリニック名古屋院院長・高須幹弥氏(50)は9日、自身のYouTubeチャンネルで、以前から大手メディアは“高市サゲ”をしていたと分析し、今回の件も「(発言者は)心の底で思っていたことをポロッと言った」「半分冗談っぽく言ったフシはあるんですけど、この人の本音なんだろうなと思いました」と語った。
「SNSやネットの“ニューメディア”と“オールドメディア”との“確執”は以前から言われてきたことでしたが、今回もそれが勃発している感じです。
先の10月4日に行なわれた自民党の総裁選でも、多くのメディアや評論家が“小泉進次郎氏(44)で決まり”と報じていながら高市氏が総裁に選ばれたことで、“オールドメディアはあてにならない”という空気感が加速。その矢先に明らかな“高市サゲ”発言が拡散されたことで、より荒れたところはありそうです」(ワイドショー関係者)
あらためて再燃しているオールドメディア批判――テレビ朝日の報道番組、『ABEMA Prime』両方のプロデューサーの経験があり、ネットとテレビ両方のメディアに詳しい鎮目博道氏は今回の騒動に対して、憤りをにじませながらこう話す。
「まず、テレビはネットメディアと速さの競争をしているところがあり、今回のように他社の記者が雑談してた内容が、会見待ちの待機時間中に流れる危険性はどんどん増えている状況にあります」(鎮目氏、以下同)
昔から現場では待機時間中、記者は退屈しのぎに雑談をすることが多かったが、ライブ配信の普及に伴い、その待機時間の内容まで生配信されることが増えているという。
「今回も、高市さんを撮影するカメラマンは、彼女が登場するまで暇だったのでしょうが、日テレの中継カメラマンはいつ高市さんが登場しても良いように準備しているわけです。だから、現場で“まさかこの状況で放送されてないだろう”と思っていても、実際には放送されてることはよくある話。
ただそもそも、国会とか、何かの事件現場とか、記者がいる場所は公共性が高いことが多いですから、本来は雑談するべきではない場所でもあるんですよね。当事者――今回は自民党関係者が聞いてるだろう場所で、総裁になった高市さんの悪口とも取れる発言をする。そんなことをしたらマスコミの評判が下がるのは明白ですが、オールドメディアはそれをしがちなんです」
さらに鎮目氏は「立ち位置が上から目線ですよね」と言い、こう続ける。
「本来であれば、マスコミに支持率を操作する力なんてありません。個人ではできないし、会社ぐるみでそんなことやったら大問題です。それなのに“自分たちは世の中を動かすことができるんだ”なんて考えての発言だったら大間違いですし、ふざけた話。そういうこと言うからオールドメディアは信頼を失うんだと反省すべきです」
今回の発言は“オールドメディア全体が偏向報道を日常的にやっていると捉えられかねない”と見る向きもあるが、これについて鎮目氏は「意地悪な言い方になりますが」と前置きし、こう話す。
「時事通信のカメラマンも悪いけど、彼としゃべっていた相手もいて、それがメディア関係者なのは間違いないですよね。その場にいた多くの記者が似た話題で盛り上がっていたと推測されます。つまり、現場の記者に、国民に公正公平な情報を伝える気持ちが感じられないというのは、時事通信に限った話ではない。もっときっちり仕事に臨んでほしいですし、そういう行ないが、自分たち”オールドメディア”の首を絞めていることを肝に銘じてほしいですね」
そして鎮目氏はこう続けた。
「個人的に感じるのは、メディア業界では、年齢層が高い人ほど、悪ぶったこと、不謹慎なことを言う自分がカッコイイと思っているような、勘違いした人が多い気がします。メディア業界で働く人全員に迷惑ですから、そういったことは本当に止めて欲しいです」
時事通信は自サイトに謝罪文を掲載したが、“会見を開くべき”という声も少なくない。この騒動は、どのように収束していくのか――。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)