■「リメイク作品が増えている1番の要因だと思います」と分析したのは……
「リメイク作品というのは、制作側が特に仕掛けなくても、勝手に昔のファンが食いついて話題にしてくれるので、マーケティングの費用が削減できるんですよね。
また、既に作品の知名度があり、発行部数などで数字もある程度読めるので、新規IP(知的財産)に比べて失敗するリスクも下げられます。こういった点が、リメイク作品が増えている1番の要因だと思います」(多根氏、以下同)
多根氏が“アニメファンの高齢化説”に否定的なのは、あの大ヒット作品も影響している。
「『鬼滅の刃』は大ヒットしましたが、あれは若い世代を中心にしたヒットでしたよね。なので、別にユーザー層が高齢化していて年寄りしかお金を落とさないとか、そんなことはないと思います。また、今は古い作品もデジタルで電子書籍が出ていたりしますし、そこからファンになる若い世代もいるでしょう」
視聴者層の高齢化は関係がないと、重ねて指摘する多根氏。一方で、制作サイドの“世代”はある程度影響しているとも……。
「番組を立ち上げたりアニメの原作を拾ってくる立場の人や、アニメ制作の偉い人は固定化していまして。制作側のコミュニティが出来上がっていて、みんな同じように年を取っていっているので、“自分たちに馴染みのある作品が最近リメイクされていないな、同じ思いを持ってる人もたくさんいるだろうな……”とプレゼンしやすいですし、話も通しやすいんです。
だから、制作側が若い頃にリアルタイムで見ていたものを再び立ち上げようとするのは、ある種、自然な流れなんです。『ベルばら』なんかも、60~70代の人の思い出から作られたのだと感じますし、むしろアニメ制作の偉い人たちこそ高齢化しているのでは」
ここ数年で流行った新規制作のアニメも、30年ほど経てば続々とリメイクされるのだろうか。
多根清史(たね・きよし)
IT / ゲーム / アニメライター。京都大学法学部修士課程修了。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)共著に『超クソゲー2』(太田出版)など。