日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが “乗った・乗りたかった” あの一台をプレイバック!

古典的でクセの強い運転感覚が記憶に残る懐かしいスポーツカー

■コンパクトなボディに三菱の技術を凝縮

 三菱は乗用車の走行性能が急上昇した1970年に、スポーツクーペのギャランGTOを発売して人気を得た。この後、1970年代の中盤になると、厳しい排出ガス規制が実施されて各社ともエンジン性能を低下させた。

 この苦難を乗り越えて1980年代に入ると、高性能車が再び活発に発売されている。その先駆けになった車種が、1982年に発売された三菱スタリオンだった。

全長は4400mmだが、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2435mmで、今の軽自動車よりも短い。ボディがホイールから前後に大きく張り出した古典的なデザインだ。

 発売時点のボディサイズは、全長が4400mmと比較的コンパクトで、全幅も1685mmだから5ナンバー車だ。

 外観は鋭角的で、フロントマスクには、当時流行した電動開閉式ヘッドランプを装着する。エンジンは直列4気筒2Lで、ターボの最高出力は145馬力、最大トルクは22kg-mだ。加速感覚はターボの特性が強く、足まわりの設定も硬い古典的なスポーツカーであった。

 路面の荒れた峠道では、車両が跳ねる挙動を見せたが、それを捩じ伏せるように走るのが楽しかった。

 メーターは中級グレードにはアナログ、上級はデジタルを装着していた。メーターの左右には、ライトなどのスイッチが配置されている。

 前席はサイドサポートが大きめに張り出して、峠道などを走っても着座姿勢が乱れにくい。小さな後席も備わり手荷物などを置ける。

 リヤゲートは大きく開いて荷物の出し入れがしやすい。後席の背もたれを前側に倒すと、荷室面積を拡大できる。実用性も備えていた。

 販売期間は1982年から1990年で、少なくとも35年を経過する。生産台数も少なかったから、中古車の流通台数はわずか。希少性が高く、中古車価格は250〜400万円に達する。パーツの流通量も限られているから注意したい。