相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
10月27日、大相撲九州場所の番付が発表された。
東西に大の里、豊昇龍の両横綱、先場所途中休場した琴櫻は、ひとり大関だ。
新関脇には今年大ブレイクした安青錦が座り、西関脇には、オレの三男・王鵬が復活した。小結はと言えば、先場所12勝の隆の勝が復活し、西は髙安が据え置かれたことで、新鋭・伯桜鵬は東筆頭に留まった。
10月中旬に行われた「ロンドン公演」では、両横綱が「裸の観光大使」として、いろいろな場所に引っ張り出されたうえに、土俵上でも強さを見せた。特に豊昇龍は、ああいう派手なイベントが大好きだから、大張り切りで、総合優勝! 終始、笑顔が絶えなかったのが印象的だった。
この1週間近いロンドン公演が、九州場所に、どう影響するか……というと、大いにあるとオレは思う。
オレの現役時代は、景気が良かったこともあって、年に2回、海外での巡業があった年もあったほど、盛んだった。
特にヨーロッパはフライト時間が長い。大の里が「フライト中は寝ていた」と取材陣に話していたのは頼もしいかぎりだが、特に両横綱は注目度が高かっただけに、終了後にドッと疲れが出てくる。
場所前は少し稽古をセーブするくらいじゃないと、九州場所は15日間持たないかもしれない。
それに引き換え、オレが注目しているのが、琴櫻と草野、改め義ノ富士だ。
先場所、13日目まで9勝と好調だった琴櫻は、14日目から急遽休場。場所後の「大相撲百周年場所」と、ロンドン公演を休場した。その間、治療と調整に当てていたと聞いたけれど、「疲れ」という意味では、両横綱より有利。2回目の優勝もありえるのでは?