■実家暮らしに関するネットのリアルな声

 ネット上でも、実家暮らしを肯定する声が目立ちます。「実家暮らしが良い戦略だと言われるいい時代になった。就職氷河期世代は就職も厳しいのに、実家にいるとパラサイトシングルと言われ肩身が狭かった」「物価高で可処分所得が増えないこのご時世、実家暮らしは堅実」「結婚を想定せず、家族関係が良好であれば最も合理的。良い相手が見つかれば、貯めたお金で引っ越せばよい。昔は嫁や婿に行くまで実家暮らしが当然だった」「無理に実家を出て家賃を払い、結婚相手探しに余裕がない状況を生むだけ」といった意見があり、現代の経済環境や多様な暮らし方を反映しています。

「物価高や増税に加えて、雇用の安定性が低下し、社会全体の可処分所得が伸び悩む中、実家暮らしは“節約”だけでなく“リスクヘッジ”の役割を果たしています。従来の“一人暮らしをしてこそ自立”という価値観は高度経済成長期や終身雇用制度に支えられていた時代の産物です」(生活情報サイト編集者)

 今の社会では、むしろ生活コストを抑えながら将来の資産形成に備える合理的な選択肢として実家暮らしを見直す動きが自然に広がっていると言えます。

「親と同居することで介護や家事の分担といった相互支援も可能になり、単なる節約術にとどまらず、生活の安定基盤をつくる戦略的なライフスタイルになっています」(前同)

「いい歳して実家暮らしは恥ずかしい」「独身なら一人暮らしをすべき」という価値観が根強く残る一方で、今回の調査はそうした固定観念を揺さぶる結果となりました。

 実家暮らしは若者だけの一時的な選択ではなく、30代・40代にも広がりを見せる現実的で合理的な生き方。物価高と節約志向が強まるこのご時世、固定費を抑えつつ将来への備えとして、実家暮らしは“賢い選択”として再評価されているようです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。