「老後を一人で迎えるのが怖い」「子どもが独立して家が静かになった」「夫を亡くして10年、話し相手がほしい」「孤独死したくない」――。そんな声を背景に、50代から70代の男女が参加する“婚活バスツアー”が全国で人気を集めています。
ツアーは、観光や食事を楽しみながら自然な形で出会えるのが特徴。例えば、山梨の縁結び神社や長野の温泉地、京都の紅葉スポットなどが舞台となり、同じ景色を眺めながら会話が生まれます。昼食は地元の郷土料理を囲み、席替えを繰り返しながら交流を深める形式。最終日には「カップリング発表」が行われ、相思相愛となったカップルに拍手が送られます。
背景にあるのは、深刻化する高齢者の孤独問題です。警察庁の調査によると、2024年の1年間に全国で孤独死をした人の数は7万6020人。65歳以上の一人暮らしに限ると、5万8044人と統計の8割近くを埋めることになります。特に男性の単身世帯で孤独死をする人が目立つといいます。厚生労働省の統計では、2022年に離婚した夫婦のうち、結婚期間20年以上の“熟年離婚”が全体の約4分の1を占めるなど、老後を一人で過ごすリスクは高まっています。社会とのつながりが希薄化する中で、再び誰かと支え合いたいという思いが生まれるのはごく自然な流れと言えるでしょう。