■大成功だった竹内涼真の白肌着
人の成長を描き、なんらかの解答を提示するより、悩みながら後戻りしつつも、本当にちょっとずつ進んでいく。本作の本質はそこであり、だからこそ、そのリアルな姿が多くの視聴者の共感を呼んだのだろう。
そんな三歩進んで二歩下がる姿は、普通に描けばしんどいが、本作では竹内がうまく演じてみせた。竹内が発案したという白肌着のほか、便器に顔を挟まれたり、自動販売機の下から腕が抜けなくなるなど、コミカルな演出があったおかげで、ポップなテイストがうまく出た。そのおかげで勝男の人間味も感じられ、ロスが心配されるほどの人気キャラになったのだ。
注目の最終回は、鮎美と勝男が復縁する大団円ではなく、2人がちょっと進んだところで幕を閉じるだろう。しかし、ちょっとずつ進むこのスタイルなら物語はまだまだ続けられる。竹内は来年1月期の連ドラの主演が決まっているので、スケジュール的には厳しいかもしれないが、『逃げるは恥だが役に立つ』(同局系)のように、2人のその後を描くSP編の放送を期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。