■“中居氏・フジテレビ問題”でバラエティ制作は“解体・再編”
自身が演出を担当していた番組に会社の幹部からぎりぎりのタイミングで横やりが入って、それがきっかけで番組の終了が決定……一見すれば、A氏がフジ退社を決意したのは『酒のツマミ』が原因のようにも感じられるが、前出の広告代理店関係者は話す。
「どうやらそうではないようです。A氏は今夏の時点で、フジ上層部と退社を巡る話し合いをしていたとも聞こえてきています。ですので、『酒とツマミ』の松本さんのコスプレを巡る急遽の差し替え、大悟さんの降板、番組終了の騒動は直接の原因ではないと見られます。もちろん、後押しにはなったのでしょうが……。
それよりも大きいのは、現在のフジテレビのバラエティ制作を巡る状況だと言われていますね。今年フジテレビでは、引退した中居正広氏(53)の女性トラブルに端を発した“中居氏・フジテレビ問題”が勃発。この問題によってA氏の主戦場だったバラエティ制作が置かれた状況は一変してしまいましたからね」
年始から大騒ぎとなった“中居氏・フジテレビ問題”には、バラエティ畑の社員の“関与”が多く言われた。3月末に発表された第三者委員会の報告では、過去にフジテレビで、セクハラ行為を伴う飲み会が存在していたことを認め、《これらの傾向はバラエティ制作局において顕著であった》と断じている。
これを受けてフジテレビは、現在までの組織風土形成に直結していた編成局やバラエティ制作局などの組織を解体・再編する、大規模な組織改編を実施することに。7月10日付で、バラエティなどの制作部門はスタジオ戦略本部のもと「第1スタジオ」「第2スタジオ」「第3スタジオ」「制作推進局」に再編された。
また、コーポレート本部には、コンプライアンス推進室を格上げした「コンプライアンス推進局」も設置された。
「かつては、“フジテレビ=バラエティの局”というイメージがあるほど、数々の大人気バラエティ番組がありましたが、その裏側では問題が生じていて、今回のような大騒動につながってしまったということですよね。
そのため、フジテレビの新上層部は、コンプライアンスの順守や人権意識を強く意識する、言ってしまえば、まずは“普通の健全な会社になろう”という方針で改革を進めていますよね。騒動で多数のCMスポンサー企業が離れてしまったわけで、そうした判断は当然のことでしょう。
『酒のツマミ』が放送当日に差し替えとなったのも、コンプラをチェックをする管理部門の権限が強くなったことが関係しているとも聞こえてきていますね」(前同)
この再編で、フジテレビのバラエティ制作は、社内における立場が弱くなってしまったとも言えそうだが、
「実際のところは置いておいて、フジのバラエティ制作の人たちからは“良い視聴率、良い評価を得る番組を作っても、社内での出世はないな……”といったぼやきが出ているといいますね。出世だけでなく、面白いこと、チャレンジングなことができる立場でもなくなってきているのかもしれません。まあ、その背景には制作費カットの件もあるわけですが……。
ですので、多くのバラエティ制作の社員は、今後についていろいろと考えるところがあるようです……」(同)
本サイトはフジテレビに、A氏の退社について問い合わせたところ、「人事の詳細については、お答えしておりません」ということだった。
退社が発表された藤本アナに続く人材流出がありそうなフジテレビ。11月25日時点でCMが前年比86%まで回復したというが、内部はまだまだ揺れているようだ――。
(2025年12月02日公開)