■意外になかったバディ大河ドラマ
地上波ドラマでは定番のバディ物だが、大河ドラマではほぼ初めてだろう。たとえば『べらぼう』で蔦重(横浜流星/29)のそばに歌麿(染谷将太/33)やてい(橋本愛/29)がいたように、物語の一部分で支える人物が配置されることはあったが、2人の対比がメインで描かれることはほぼなかった。大河ドラマの王道とも言える戦国ものだが、そこが新しい。
今回、それがはっきり見えたのが、藤吉郎(池松)が台所方・横川甚内(勝村政信/62)を斬り殺すシーンだ。お調子者の藤吉郎が一転、冷酷さを見せ、実直な小一郎(仲野)との対比がはっきり描かれた。それまでコントのように絡んでいたので、このインパクトは絶大。秀吉は大河ドラマで何度も描かれてきたおなじみのキャラだが、弟・秀長とのバディ設定とすることで、これまで見たことがない秀吉が描かれそうだ。
大河の戦国ものは鉄板で、定期的にやりたいところだが、最近はネタ切れ感があった。『どうする家康』が新しい家康像を提示したように、手を変え品を変えて新たな戦国ものを模索している。バディ設定も新たな試みだが、初回では見事に成功したようだ。仲野と池松の息もピッタリで期待できそうだし、今後、大河ドラマにバディものが増えるかもしれない。
初回で主人公の子ども時代を描かず、畳み掛けるように話が転がっていくテンポ感が良かった本作。制作統括・松川博敬氏は、仲野を「芝居の足腰がしっかりしている。長いドラマを預けられる人」、池松を「瞬間で見せる爆発力には驚かされる」と絶賛。今後の1年間、2人が楽しませてくれそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。