■『夫よ、死んでくれないか』を超えるか
一樹(安田)がクズ夫なだけでなく、ツッコミどころがたくさんある本作。そもそも、いきなりあらわれた夫に、どこでなにをしていたのか聖子はちゃんと聞かないし、手を握ったと思ったらいきなりラブシーンスタート。一樹が偽造の身分証明書をあっさり手に入れているのも説明なし。GP帯のドラマとは思えないほど、穴だらけの展開だった。
それでも怒涛の展開に、つい最後まで見入ってしまった。初回から夫に裏があることを見せて、愛人まで登場。さらに、妙に親しげにしてくる紗春(桜井)も怪しいし、ミステリものの定番、汚職政治家(余貴美子/69)と週刊誌記者(宮沢氷魚/31)まで出してきた。なにか起こりそうな雰囲気と匂わせを出し惜しみしておらず、サービス精神に満ちている。
早くも考察が始まっていて、紗春の失踪中の夫にも一樹と同じホクロがあったことなどから、《結局、松下奈緒はクズ男のヤスケンをサツガイすることになるんだろうね。今後、松下奈緒は桜井ユキと手を組み、桜井ユキの夫が亡くなったことにすると予想(保険金を受け取るために)》など、聖子と紗春が共闘して一樹を追い詰めるという説が多い。
クズ夫への復讐、しかし妻側にも事情があって……となると、25年4月期の『夫よ、死んでくれないか』(テレビ東京系)にそっくりだ。こちらも怒涛のトンデモ展開が受けて、深夜帯では異例の大ヒットとなった。本作もトンデモに振り切った展開を見せれば、松下、安田、桜井という盤石のキャストがいるだけに、ヒットする可能性は高い。
浮気、モラハラ、束縛という3人のクズ夫が登場した『夫よ、死んでくれないか』は、浮気夫が妻の首を絞め、妻が浮気夫の頭を石で殴って逆襲し、崖に突き落としたうえ、熊に襲われて死亡。後日、妻たちが熊肉を食べている、ゾッとするシュールなラストだった。本作にはこれを超えるトンデモ展開に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。