■深夜に思えぬハイクオリティの『こちら予備自衛英雄補?!』

 ナガレ(菊池)は、嘘をつくと少しだけ体が浮く特殊能力があったが、それが原因で母親との悲しい思い出があった。X上では、《風磨くんの演技、クズさもやさぐれ感も奥の優しさも全部見えて良かった》《のんちゃん、クルクルと変わっていく表情の変化、声の硬さでサエの人柄や心情が伝わってくる表現力凄い》など、菊池とのんへの反響が大きかった。

  加藤浩次の原作・脚本・監督ばかりが話題になっているが、劇団「ヨーロッパ企画」の左子光晴氏が共同で脚本を担当しているだけに、テンポのいいコメディが展開された。自身のXで《8話くらいまで書き終えたあたりで加藤さんが「やっぱり1話まだ粘りたい!」となり、大打ち合わせの末リライト。書き直してよかった》と投稿していたが、そうとう練られた初回だったようだ。

 サブキャストは森永悠希、戸次重幸に丘みつ子(77)と、深夜帯と思えぬ豪華な顔ぶれ。彼らが作り出す抜群の間とテンポは、なんとも楽しい。そしてなんといっても、のんだ。情報量の多い表情の演技は、ついつい見入ってしまう。地上波連ドラは久しぶりだが、映画などで養ってきた演技力はただものではない。

 GP帯で放送してもおかしくない質の高さと、贅沢なキャスト。配信サービス・TVerのお気に入り登録数の33.5万(1月12日午後1時現在)は、深夜ドラマにしてはハイレベルなスタートだ。始まったばかりで判断がつかないが、シンプルに作品の力で見れば、かなりのもの。GP帯のドラマを吹き飛ばす、人気作になるかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。