日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。1月24日はマイノワールとクロゼイロドスルに。翌25日はスマートプリエールに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。
(以下の内容は2026年1月19日に寄稿されたものです)
アスリートの中には、いつも通りのルーティンを大切にされる方、験を担ぐことを大事にされている方がいます。
デビュー当時、僕も何度かやった記憶はありますが、長続きせず、気がついたときにはすっかり忘れていました(笑)。
レース前に食べる物はそのときの気分。GⅠを勝った後に行くお店も、食べる物も、飲むお酒も、そのときによって違います。
ルーティンは持たないし、験担ぎもしない。
信じていないわけでも、しないと決めているわけでもなく、韓国語で言うと、“クニャン”。「なんとなく」。いつも通りが僕のやり方です。
ルーティンや験担ぎとは関係なく、運が良かった、運がなかったというのは、僕も感じています。
ただ、その運を呼び込むのも自分次第。きちんとした挨拶や、人としての立ち居振る舞い、考え方が、運を引き寄せるのだと思っています。
同じように、流れというのも大事です。自分で流れを断ち切ると、不運の波に飲み込まれ、浮上するためには大きなエネルギーが必要になります。
逆にいい流れに乗れたときは、気力も充実。さらにいい運を呼び込めるような気がします。
新年の競馬、1月4、5日は、2日間で1勝。満足できる数字ではありませんが、野球選手が最初のヒットでホッとするように、ジョッキーにとっても1勝は、“今年もやれる”というエネルギーの素になります。
この流れを止めないように臨んだ10~12日の3日間競馬は、まず10日10R鹿ケ谷特別を、ジャスパーディビネでⅤ。
翌11日には、石橋守厩舎のヤブサメが、11Rオープンの淀短距離Sで、矢のような末脚を繰り出してオープン初勝利。続く12Rでも、福永祐一厩舎でキタサンブラックを父に持つナリタエスペランサが鮮やかに逃げ切ってくれました。
この3つの勝利は、今週末、1月24、25日の競馬にも大きな力を与えてくれそうです。