■ベテラン女優主演ドラマ増加のワケを元キー局Pが解説

 小泉は2025年4月期の月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』で主演を務めたほか、沢口靖子(60)が同年10月期の月9ドラマ『絶対零度〜情報犯罪緊急捜査〜』(ともにフジテレビ系)で主演を務めるなど、若年層がターゲットであったドラマ枠でのベテラン女優の起用がここ最近は増えている。

 その理由について、元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏はこう解説する。

「永作さんが起用の理由は2つ考えられます。1つはTBS火曜ドラマの特性です。同枠のドラマは女性視聴者の共感を呼ぶことが大テーマです。

 自分の現状や生きていてモヤモヤを感じているという女性は少なくないでしょうが、そういう方たちがドラマを見て共感ができる、そうしたニーズに応える作品ばかりですよね。TBS火曜ドラマは最近、自分の生き方に迷っている女性に共感を呼ぶドラマを制作して、大成功していますね」(以下、鎮目氏)

 TBS火曜ドラマ枠では25年10月期に夏帆(34)と竹内涼真(32)がダブル主演した『じゃあ、あんたが作ってみろよ』を放送して話題に。26年1月期に志田未来(32)主演の『未来のムスコ』を放送しており、同作も多くの反響を呼んでいる。

「自分を投影、共感できて“私もそう思っているけどみんなそうなんだ”と感じてすっきりする、そして“そんなドラマが見たい”というのが生きていくモチベーションになるんです。

 女性だけではありません。男性も女性がどういうことで悩んでいるか理解できないと生きづらい時代ですからね。TBS火曜ドラマを見ることで女性の悩みがわかりますし、男性にとっても見ていて面白いんです。そこに気づいたことが同枠が成功した理由ではないでしょうか。

 そしてそこに永作さんが起用されたのは、自分を投影しやすいこと、“ああなれたらいいな”と思えるような存在だからでしょう。あまりにも美人で高嶺の花だと自分を投影できませんからね。最近はちょっと憧れられるぐらいの女優さんが各作品に引っ張りだこなんです。『未来のムスコ』の志田さんも“きらびやかな芸能人”かと言うと決してそうではありませんし、街中にいそうでもあり、“自分もああなれたらいいな”というちょっと憧れの存在ですよね。

 特に永作さんは、40代後半から50代の同世代にとっては男女問わず憧れの女優さんです。男性は“あんなパートナーがいたらいいな”と、女性は“いくつになっても綺麗”と見る対象です。同世代の女性は、永作さんは憧れつつも自分を投影できる存在でしょうね」

 永作は、若い世代からしても憧れの存在だと鎮目氏は言う。

「今の若者には自分が今後どう生きていくのか、人生を真剣に考えている人が少なくありません。どう年老いていくかを考える世代で、永作さんは“ああいう大人になりたいな”と自身の将来像を投影したり、憧れられる存在でもあるわけです。

 永作さんは若者から中高年まで広く共感呼びやすい“可愛いけど普通なイメージ”なんです。実際はすごく綺麗で手の届かない芸能人ではあるのですが、“普通さ”がちょうどいいんです。それに年齢を超越して若く、どんな役柄も上手にこなせる。そういう女優さんが引っ張りだこですよね。

 石田ひかりさん(53)などもバブル時代も経験していますが、今の時代にも上手くフィットしていますが、誰からも嫌われず、憧れられつつもそこまで高嶺の花じゃないイメージがありますよね。昔のトレンディドラマはきらびやかな世界が描かれましたが、最近は視聴者が共感できるドラマ、“自分たちの代表”が演じてくれるようなドラマが見てもらえるんです」

 小泉が主演を務めた『続・続・最後から二番目の恋』も、大きな事件は起きないものの日常の小さな喜びや波乱は絶えずあり、登場人物たちがそれを柔軟に受け入れている、といった様子が描かれ、幅広い年齢層の視聴者から共感を集めた。

「小泉さんや沢口さんはかつては“THE芸能人”できらびやかなイメージでしたが、ナチュラルに年齢を重ねていますよね。周りの目を気にしない、他人から押しつけられることなく自分らしく生きているような女優さんが、今のドラマの主人公に起用される流れがありますよね」

 永作が主演を務める4月ドラマ『時すでにおスシ!?』は、幅広い世代から共感を呼ぶことになりそうだ。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)