相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
大相撲春場所の番付が発表された。
横綱、大関の顔ぶれは変わらないけど、先場所、大関・安青錦と優勝決定戦を演じて12勝を挙げた熱海富士が、ようやく三役に昇進。これまでも、何度か昇進のチャンスはあったものの、「ここぞ!」というときに、逃していた。
師匠(先代、現ともに)は、苦々しい思いで見ていたらしいけど、先場所の準優勝がキッカケとなって、ひと皮むけるといいんだけどね!
それで、旭富士だ。
旭富士といっても、伊勢ヶ濱部屋の元師匠、元横綱・旭富士の話ではない。昨年九州場所、伊勢ヶ濱部屋からデビューした、新弟子のことだ。
モンゴル出身の彼が日本の高校を経て、伊勢ヶ濱部屋に入門したのは、2021年のこと。入門したのはいいけれど、相撲協会のルールで、「外国人力士は(原則)1部屋1名」と決まっている。部屋にはモンゴル出身の横綱・照ノ富士がいたため、彼が引退しない限り、旭富士は正式な力士にはなれない。
「研修生」として、部屋で稽古をしているうちに、4年余りがたち、照ノ富士の引退を受けて、ようやく力士の仲間入りを果たした。
部屋では幕内力士と互角に稽古をしているそうで、4年の間で実力を磨いた。しかし、よく我慢したものだよ。満を持して序ノ口力士として臨んだ先場所は、7戦全勝でぶっちぎりの優勝!
で、付いたニックネームは「史上最強の新弟子」。185センチ、150キロの体はバランスが取れているし、しばらくは全勝で行くんじゃないかな? そんな実力者だからこそ、先代師匠は、自分の四股名「旭富士」を与えたというわけだ。