■医師が解説、食べ物と母乳の関係性

 実際、母が口にした食事が原因で体内から出る母乳の味は変わるのか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が語る。

「お母さんが口にした食べ物と母乳の味は関係ないと思います」

 その理由はどこにあるのか。

「母乳には乳糖という成分が入っているんです。これは砂糖の半分くらいの甘味で糖分の一種類なんです。この成分が母乳の甘さにつながっているのでは」(前同)

 つまりは母乳には糖分が含まれているため、元々甘いというわけだ。母乳が甘く味付けされているのは、赤ん坊が栄養補給をする上で口当たりを良くするためなどの理由があるのだろうか。

「元々、糖分が含まれているので母乳は甘いというだけ。赤ん坊がお乳を摂取しやすくするために甘いなどと言うことではないですね」(同)

 なぜ、赤ん坊は母乳を通じて糖分を体内へと摂取する必要があるのか。

「糖分というのはエネルギー源なんです。また、ガラクトースという脳の神経の発達に必要な栄養も乳糖には含まれます。それと腸内細菌ですね。赤ん坊は体内で腸内細菌を作らないと食べ物を消化できません。腸内細菌を体内で作るのに乳糖が役立つと言われています」(同)

 赤ん坊が生活する上で必要不可欠となる母乳。その味が甘いのには理由があったのだ。

上昌広(かみ・まさひろ)
特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日』(朝日新聞出版)など著書多数。