日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、推し活について。中高年層にも広がる推し活、その市場規模は?
一昔前の老後の楽しみといえば、孫の成長を眺め、お小遣いをあげるような、控えめな姿が一般的でした。しかし2026年を迎えた今、その光景は劇的に変わっています。シニア世代が自分の「好き」に情熱と資産を注ぎこみ、若者顔負けのエネルギーで応援する「推し活」が日々の生活を支える新しいライフスタイルとして定着しているのです。
株式会社CDGと株式会社Oshicocoが今年1月に15歳から69歳の男女2万3125人を対象に行った「推し活実態アンケート調査」の結果は、まさに驚くべき内容でした。このレポートによると、現在「推し活をしている」と答えた人は全体の24.0%に達し、前年から7.3ポイントも増加しています。人口に換算すると約1940万人となり、今年中に2000万人を突破することがほぼ確実な情勢。市場規模も前年の約3.5兆円から、国内の日帰り旅行市場に匹敵する約4.1兆円へと急拡大を遂げています。もはや推し活は、一部の熱心なファンのものではなく、4人に1人が参加する巨大な国民的レジャーになったと言えます。
特に注目すべきは、若い世代の文化というイメージが強かった推し活が、60代を中心とした層にまで深く浸透している点。株式会社TimeTreeが昨年8月に10代から70代の男女3376名を対象に行った調査によれば、60代の半数以上である52.3%が「推し活を実施している」と回答しました。もはやシニアにとって推し活は特別なことではなく、日常を彩る不可欠な要素となっているようです。
「以前は孫に会うことだけが楽しみだった母が、最近はSnow Manのライブや雑誌チェックで忙しそう」「定年退職して孤独になるかと思っていたが、地元のスポーツチームを推し始めてから仲間が増えた」「娘と孫と一緒にSnow Manのコンサートへ行った。三世代で同じ話題で盛り上がれるなんて、推し活がなければあり得なかった」といった声からは、推し活が孤独の解消や家族間の新しい交流ツールとして機能している実態が浮かび上がります。