■布団に入る瞬間が美しさのスタートライン

 また、矢野経済研究所の調査でもスリープテック(睡眠×テクノロジー)の国内市場規模は拡大傾向にあり、睡眠の質を向上させる商品だけでなく、自身の睡眠リズムを解析し「脳の掃除」を最適化するアプリや、深い入眠へ導くための頭部ケア専門サロンといったサービスが市場を牽引しています。

「株式会社コジットから発売された耳専用の温熱アイテム『ねおちスト』が大ヒットしたのは象徴的です。他にも睡眠中の摩擦や乾燥を防ぐナイトマスクやシルク製寝具、さらには眠っている間に美容成分をじわじわと届けるマイクロカプセル技術を応用したクリームなどが美容市場の成長を支えており、もはや睡眠は休息というだけでなく、自分自身をアップデートするための“積極的な投資時間”だと消費者の意識も変わってきているように思います」(美容ライター)

 ネット上でも「仕事が忙しいから、寝るだけでケアできるのは本当にありがたい」「今まで高い美容液を塗ることに必死だったけど、いかに深く寝落ちするかの方が肌への恩恵が大きいと実感した」といった声が寄せられ、慌ただしい日々の中で美しさを保つ“究極のタイパ”ニーズがこのトレンドを支えているのは間違いありません。

「デパートコスメからも睡眠中の肌のリズムに合わせた液や、リラックスできる香りのクリームが投入されています。これまではお風呂上がりのケアがゴールでしたが、今は布団に入る瞬間のリラックスが美しさのスタートライン。特に技術の進化により、寝返りを打つたびに新鮮な成分が肌に届くような工夫を凝らした商品が増えており、翌朝の肌の状態を整えやすくなっています。まさに、効率と美しさを両立させた現代の救世主的な存在と言えるかもしれません」(前出・美容ライター)

 眠りにつく瞬間の心地よさと、目覚めた時の肌の弾力。この両方を手に入れる「寝落ち美容」は、最も合理的なメソッドとして今後さらに定着していきそうです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。