■『岡田スタッド』代表・岡田牧雄氏が本サイト取材に憤りと懸念を告白

 しかし、これらの“反論”は、同業者の怒りを買うことになった。茨木県にある引退競走馬の養老牧場『うまんまパーク』は3月16日にXを更新。《この件について、あまりコメントを出すことに気が進みませんが》と記した上で《まず、この業界から退いていただきたい》と浜本牧場を強く批判。

 また、同日には青森県内で競走馬の生産をしている牧場『ワールドファーム』も《あの動画のように仔馬に殴る・蹴る・地面に叩きつけるような扱いをすることは、少なくとも私の知る牧場では行いません》と怒りを露わにしたのだ。

 同業者からも上がり始めた浜本牧場への憤りの声。これを受けてか、3月17日には浜本牧場も方針転換。『有限会社 浜本牧場』のアカウント名で運営を行なっていたXのアカウントの投稿をすべて削除した上で、知人のSNSを介して「(有)浜本牧場 浜本雅俊」と署名入りで謝罪文を掲載したのだ。

 謝罪文では《私の不適切な行為により、私たちの牧場を信頼して預けていただいている大切な馬たちに、恐怖とストレスを与えてしまいました。》と記し、《しつけや管理の名で正当化できるものでもありません。》と自身の非を認めて《このたびは、誠に申し訳ございませんでした。》と謝罪したのだ。

 それでも動画が世間に与えたインパクトはあまりに大きく、SNS上では《遅すぎる》《本心とは思えない》など浜本牧場が投稿した謝罪文が本心からではないのではと、不信の目が向けられている。

 この事態を同じ北海道・日高町の人々はどう見ているのか――。本サイトの取材に答えてくれた、2021年の菊花賞、22年の天皇賞(春)、そして同年の宝塚記念も制したタイトルホルダーなど数々の名馬を生産してきた『岡田スタッド』の代表で、馬主としても日本競馬会に名がとどろく岡田牧雄氏は怒りを露わにする。

「生後間もない仔馬を殴ったり縛ったりして従わせるなんて、育成としてまずあり得ない。こんな暴力を加え続ければ、馬に警戒心を植えつけるだけで、信頼関係は壊れてしまう。人を怖がるようにするだけで、育成としても完全にマイナスです。

 本来、育成とは、人間は危害を加える存在ではないと教えながら、信頼関係を築いて能力を引き出していくもの。これは牧場関係者、皆が考えることです」

 こう語った上で、岡田氏は今回の騒動が競馬界全体へと影響を与えないかと懸念を口にする。

「一番心配なのは、この件で一般の方に“牧場や競馬界は普段からこういうことをしているのか”と思われてしまうことです。ただ、少なくとも私の知る限り、こんなやり方は見たことも聞いたこともない。周囲でも“あり得ないことが起きてしまった”という反応を示す人ばかりです」

 謝罪文を出した浜本牧場の愚行によって傷つけられたのは、一頭の仔馬だけではなく、日本競馬界への信頼そのものということだろう。

岡田 牧雄(おかだ・まきお)
1952年5月14日生 日本の実業家、馬主。競走馬生産牧場の岡田スタッド、種牡馬繋養牧場のレックススタッドの代表を務めている。