軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。
■ミサイルや爆弾を積んで攻撃機として使える汎用性は中国優位
戦闘機パイロットの育成において必要不可欠な練習機。まずはプロペラ機で基本的な操縦技術を学び、最終段階でジェット機に乗るのだが、このジェット練習機にも各国のカラーが表れている。
航空自衛隊では1988年からT-4練習機を配備している。そこから2003年の最終機引き渡しまでの間、総数約210機(試作機含む)が製造された。前席に学生、後席に教官が乗るため、複座型となっている。国産のF3-30ターボファンエンジンを2基搭載している。
中国も国産の練習機開発を行い、2006年に初飛行に成功したのがJL-15(教練15)だ。エンジンは国産のWS-17だが、技術協力という形でロシアのヤコブレフ設計局が関わっているため、外見上は同局が作った練習機Yak-130と酷似している。座席は教育用の複座型。現時点で約140機が製造されている。生産数は今後も増える見込みだ。
練習機は機体構造がシンプルで、複座型のため練習機以外にもさまざまな用途がある。T-4で言えば、アクロバットチーム「ブルーインパルス」の機体となっていることが有名。その他、基地間の人員輸送などミサイルや爆弾を積んで攻撃機として使える汎用性は中国優位連絡機としても活用されている。
JL-15は、さらに火器管制レーダーを搭載することでミサイルや爆弾も扱えるようになり、軽攻撃機としても使える。その際は“J(教)”をとったL-15という名称だ。UAEやザンビアもL-15を配備している。こうした汎用性の高さを考慮すれば、JL-15のほうが優れていると言えなくもない。なおT-4の後継機は日米共同で開発する計画だ。
●SPEC比較 T-4 vs JL-15
| 練習機 | T-4(日本) | JL-15(中国) |
|---|---|---|
| 全長 | 13.00m | 12.27m |
| 全幅 | 9.94m | 9.50m |
| 最高速度 | マッハ0.90 | マッハ0.95 |
| 航続距離 | 約1,290m | 約2,800m |
| 武装 | なし | 空対空、空対艦ミサイル、対地爆弾 他(L-15) |
| 乗員 | 2名 | 2名 |
菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。