■『ばけばけ』では“母親の愛”を感じさせる演技が話題に
池脇も出演していた朝ドラ『ばけばけ』は、高石あかり(23)を主演に、日本の民話を『怪談』という文学作品へ昇華し世界に広めた明治の小説家・小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツをモデルにした物語。池脇は同作で“主人公を優しく見守る母親・セツ”を演じたが、どこか安心感が伝わってくるふっくらとした顔つきだったことも大きな話題となった。それは、かつての池脇は清純派の美人女優というイメージだったからだ。
今回の映画『ラプソディ・ラプソディ』や『ばけばけ』もそうだが、近年の池脇は年齢相応の役を演じるにあたり、増量したりあえて老け込んだりと外見から徹底的な役作りを行なう一流の演技派女優として高く評価されている。
美しい、若々しい雰囲気を求められることも多い俳優にとってはリスクもある選択と思えるが、池脇は2021年7月発売の女性誌『SPUR』(集英社)のインタビューでは《美しくありたいと思ったことがない》と言い、役者としてこんな価値観を話している。
《私、昔から年齢を気にしたことがないんです。40歳だから節目の年だなとか考えたことないし、年をとってお肌がどうのとか、まったく思わないし。むしろ年を重ねると、そのぶん役の幅が広がるので楽しみなんです》
そして池脇は、ビジュアルだけではなく、演技力も圧倒的。前述の『ばけばけ』は“明治を生きた家族のホームドラマ”という雰囲気の作品でもあったが、池脇は娘・トキ役の高石、夫・司之介役の岡部たかし(53)らと笑いあり涙ありのシーンを数多く演じ、視聴者を釘付けにした。
同作は朝ドラでは珍しく最終回まで両親が健在の作品でもあり、池脇が最終週(3月23日~27日)で見せた演技も注目を集めた。
【以下『ばけばけ』ネタバレを含みます】
『ばけばけ』最終週は、妻・トキ(高石)が、先立たれた夫・ヘブンとの思い出を語り回顧録として世に公表するまでが描かれた。その過程では、トキは夫に迷惑をかけ、彼の作家人生も台無しにしてしまったという負い目から、楽しい思い出を1つも話せなくて――という場面も。
ふさぎ込むトキに、池脇演じるフミはこう優しく語りかけた。
「悪いことばかりだないがね。私が言うのもなんだけど……こげな世界一のママさんがおる世界一の家族ができたんだけん。私には……ええことの方が多いように思えるがね」
「反省でも後悔でもええ。謝るでも愚痴こぼすでもええ話したら少しは楽になるけん。もし、それが寂しい話だったとしても私がそばにおるけん」
司之介と一緒に優しくそう説き、トキは立ち直る――という流れだった。母親の深い愛を感じさせる名演技に、多くの視聴者が涙した。
『ばけばけ』の影響もあって、あらためて存在感が増している池脇。注目の映画もGWに公開されるが、ますます引っ張りだになりそうだ。
特撮・ドラマ・映画ライター・トシ
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受け、平成ライダー、そして現在放送中の令和ライダーを筆頭に、特撮作品を愛するように。
特撮出身の俳優を追う過程で一般ドラマや映画の世界にも興味を抱くようになり、旬なドラマ・映画は欠かさずチェック。エキストラとして作品に参加し、阿部サダヲや藤原竜也など一流の俳優陣の生の芝居に衝撃を受けることもしばしば。“考察ドラマ”だらけの4月期ドラマに期待している。