■「不倫をした」デマ流すのとは比にならない…“犯罪事実の摘示”の罪を弁護士が解説
デマの内容によって、拡散に関する罪の重さも変わってくるという。
「デマの内容によって、法的評価の重さは実際にはかなり変わってきます。たとえば『不倫をしている』という投稿も名誉毀損になり得ますが、『万引きをした』『殺人犯だ』といった犯罪事実の摘示は、社会的評価をより強く下げるため、悪質性は一般に重く見られやすいです。
特に事件の最中に、誰かを犯人視したり、虐待や追い出しのような深刻な事実を裏付けなく拡散したりすれば、本人や家族への打撃は非常に大きくなります。条文上、内容ごとに別々の罪になるわけではない場合でも、投稿内容の深刻さは、違法性の判断や処分、慰謝料額に大きく影響すると考えてよいです」(前出の正木絢生弁護士、以下同)
それでは発信元の「影響力」により、罪の大きさは変わるのか。
「発信者の影響力そのものが、直ちに別の犯罪を成立させるわけではありません。ただ、フォロワー数が多く、何千万回も表示されるようなアカウントであれば、被害の広がりや深刻さは格段に大きくなります。そのため、刑事でも民事でも、実際の拡散規模は悪質性や損害の大きさを判断する重要な事情になります。とくに注目事件の直後に、真偽不明の情報を『続報』や『理由まとめ』として流す行為は、読者に事実らしさを与えやすく、より重く見られる可能性があります」
デマを拡散された側が“訴えた”場合、具体的にどのような罰があるのか。
「デマを流された側が訴えた場合、刑事と民事の二つの責任が問題になります。刑事では名誉毀損罪なら三年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金、侮辱罪なら一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金などが定められています。ただし、実際には必ず上限まで科されるわけではなく、初犯か、削除や謝罪があったか、示談が成立したかなどで大きく変わります。民事では、慰謝料請求や削除請求、匿名アカウントであれば発信者情報開示による特定も現実的な対応になります」
なお、デマを拡散される側が議員のような“公人”か今回の事件のような“私人”かでも罪の重さに違いは出るという。
「デマを拡散される相手が公人か私人かで、法的評価の出方は変わり得ます。公人については、政策や公務に関する事柄であれば『公共性』や『公益目的』が認められやすく、一定の批判や論評は広く許される余地があります。しかし、それでも無関係な私生活暴きや根拠のない犯罪疑惑の拡散は許されません。
他方で、私人、とりわけ事件関係者や家族については、そもそも公共性が認められにくく、真偽不明の情報を広めた場合は違法性が強く認定されやすいです」
さまざまな情報が拡散しやすいSNS社会だからこそ、発信者も閲覧者もより一層のリテラシーが求められる。
正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや交通事故・相続・労働問題・詐欺事件・薬物事件など民事事件から刑事事件まで幅広く多数手掛ける。
BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、ユア・エース公式チャンネル「ちょっと気になる法律相談」では知っておきたい法律知識を配信中。
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