相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
元横綱・照ノ富士の伊勢ヶ濱親方が、弟子の幕内・伯乃富士に暴力を振るった問題に、相撲協会から処分が下った。
結果は、「委員優遇年寄」から「年寄」への2階級降格と3か月の報酬10%減俸という、「大甘」なものだった。
事件を振り返ると、春場所前に、伊勢ヶ濱親方と伯乃富士らが後援者とともに飲みの席に行ったところ、伯乃富士が隣にいた女性にちょっかいを出したことで、後援者が激怒。それで見せしめなのか、伊勢ヶ濱親方が、伯乃富士の顔面を殴りつけた。
ただ、伊勢ヶ濱親方は、事態を反省して、後日、伯乃富士と「証人」の錦富士を連れて、相撲協会にみずから報告。春場所中は、職務停止となり、「処分」の行方が注目されていた。
オレに言わせれば、なんだか納得のいかない処分だ。
元白鵬は、2年前に弟子の幕内・北青鵬が部屋の力士に暴力を振るっていたことを隠蔽していたという理由で、宮城野部屋は事実上閉鎖。弟子たちは伊勢ヶ濱部屋に転籍することとなった。
転籍した力士の一人が伯乃富士だったのだが、伊勢ヶ濱部屋での生活は、「迫害」に近いものだったという。
その最たるものが、昨年の一斉改名だ。旧宮城野部屋の力士は、「白鵬」の「鵬」の字を付けた力士が多く、伯乃富士も以前は「伯桜鵬」だった。
ところが、照ノ富士が師匠になると、旧宮城野部屋の力士は「〜富士」に改名させられた。人気力士・炎鵬だけは、改名を回避したものの、炎鵬も弁護士を立てて、四股名を守ったという。