■途中で優しい女性警官も登場する“劇団・悪徳ニセ警察”

 警察も注意喚起を続けているが、それをあざ笑うかのように詐欺集団の手口は巧妙化するばかり。

 前出のジャーナリストの多田文明氏が続ける(以下、コメントはすべて同氏)。

「たとえば最初に高圧的な警察官から連絡が来て、その後、警視庁関係者や検事を騙る者まで出てくるんですね。もちろん、すべてニセモノなのですが。

 途中で優しい女性警官が“あなたが犯人とは思えない。一緒に無実を証明しましょう”と寄り添い、励ます姿勢を見せることもあります」

 まるで“劇団・悪徳ニセ警察”だが、一味は、こうしたアメとムチを使い分け、心理的に揺さぶりをかけてくるようだ。

「“無実を証明するためには全財産の資金調査が必要だ”と言いくるめ、通帳や株などの資産状況をさらけ出させる。そして、ターゲットが金を持っていると判断したら、いよいよ“値踏み”から“搾取”のフェーズに入ります」

 ポイントは“守秘義務”。犯人は、それを強調し、周囲との連絡を遮断するよう誘導してくる。

「そのうえで“資金調査”として振り込みを指示して来るんですね。“では調査しますから、この口座に、お金を振り込んでください”というわけです」

 多田氏が取材した例では、こんなパターンも。

「500万円もの大金を振り込ませた後、“調査の結果、あなたの口座はクリーンだと証明された。今、お金を返却した”とニセの振込証明画像を送付してきます。

 もちろん、返金したというのも嘘八百。でも、そこで安心させて“実は、もう一つ調査が必要な口座がある”と、さらに金をむしり取ろうとしてきます」

 高齢者の虎の子の貯金まで狙い撃ちにする悪辣なやり口。どうすれば、その魔の手から逃れられるのか。

「“自分は大丈夫”という思い込みが最大の落とし穴です。ネットリテラシーが高い若年層も、高齢者と同じように狙われています。

 最初の電話の時点で迷わず切る。必ず実在する警察に折り返し確認する。そして、周りの人に相談する。それが基本です」

 ひとまず“警察からの電話”は疑ってかかることが、最善の自衛策と言えそうだ。

多田文明(ただ・ふみあき)
20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通したジャーナリスト。「誘われたらついていく」潜入取材を担当し、雑誌で連載。『ついていったらこうなった』(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。以降も多数のテレビ番組に出演し、最新の詐欺の手口などを解説している。また、旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題点を早くから指摘。あらゆる騙しの手口に警鐘を鳴らし、被害防止のための講演や講座も行っている。