■テレビプロデューサーがYouTubeで番組を作ったワケ

――テレビマンである高橋さんが“テレビ”ではなくYouTubeで『日経テレ東大学』を展開しようと思った理由は何ですか?

 いろんな理由がありますけど、きっかけは若者が見てくれるからですね。

 テレビが中心とする層も年齢が高めになっていて。もちろんそういう人たちに娯楽を届けるというやりがいがあって好きだったんですが、“若い人向けのコンテンツも作りたい“って思いも強くて。番組をより多くの人に見てもらうためには、テレビ東京単体の視聴率で考えたらYouTubeの番組を作った方が視聴回数が多くなって、メディアとしては強いと考えました。

高橋広樹/撮影・ピンズバNEWS編集部

――『日経テレ東大学』のMCはひろゆきさん(46)と成田悠輔さんですが、なぜ2人をキャスティングしようと思ったんですか?

 理由は……変だからです(笑)。言っていることが変で、“人間の見方を変えるヒントをくれる”ような変さがあった。彼らが“変”な理由って振り返ってみれば、学者らしい思考実験を繰り返しているからだと思うんです。

 学者は、いわゆる普通の文化人や私たちと違って、実験する人なんですよね。今まで番組出演で学者らしい思考実験を前面に出して喋るタイプの方ってあんまりいなかった気がするんですけど、成田さんは学者特有のトーン、マナーを出してくるのが良かった。

 ひろゆきさんも実は成田さんと近くて、ゲーム感覚で思考実験をしているんだと思います。ワイドショーのコメンテーターって、自分の主義・主張や理想を伝えたい人が多い印象ですが、そうではなくて思考実験として“こういうのはどうなんだろう?”とか"この問題解決にはこういう仮説があるのかな?”を言ってたんじゃないかな。

 ひろゆきさんは非効率という言葉をよく使うんですけど、“非効率”という課題に対して“こうしたら解決するんじゃないのかな?”と、あくまで“思考実験をしている人”という点が2人は似てるのではないか、と。目の前に現れた課題に対して常に思考実験をしているのは、ニュートラルでとてもいいなと思いました。