「補助金が出るから実質タダ!」

「今なら最大20万円お得です!」

 給湯器の買い替えを促す、そんな広告がネット上にあふれている。誰もが一度は目にしたことのある言葉の数々だが、その一方で……。

「深刻なトラブルが頻出しているんです。中には電話で“自治体からの委託”“ガス会社から依頼された”などと身分を偽った業者から“聞いていた金額と違う”“追加費用を請求された”“契約を急かされた”などと言われるなどの消費者被害が報告されています」(全国紙社会部記者)

 国民生活センターによれば、給湯器の点検商法に関する2023年の相談件数は前年度の約3倍まで跳ね上がったとのこと。とりわけ高齢者を狙った訪問販売や、ネット広告を起点とした契約トラブルが目立つのだという。

 その背景にあるのは、「給湯省エネ2026事業」など政府や自治体によるエコ設備導入の補助金制度だ。“お得感”を過剰に煽る業者が後を絶たないが、実はここに大きな落とし穴がある。

「機種によって補助金が出るものと出ないものがあるんです。ヒートポンプ技術で大気の熱を利用して高効率でお湯を沸かす“エコキュート”など、厳密には一定の条件を満たす給湯設備だけが補助金対象なんですが、実際には“補助金で安くなりますよ”と、あたかも全部が対象のように説明する業者もいる。だから予想外の高額を請求された消費者としては“話が違うじゃないか!”となるわけです」

 こう語るのは、大手給湯器メーカーの下請けで現場の取替工事を担当するT社長。長年にわたって多くの施工を手がけてきただけに、生々しい証言が続く。

「昔は給湯器が壊れたら、その家を建てた工務店やリフォーム業者、あるいは家電量販店に頼むのが一般的でした。ところがコロナ禍以降、ネットで購入する人が一気に増えた。そこに補助金の話が乗って、ネット特化型の業者が急増したんですね」(T社長=以下同)

 だが、問題はここから。ネット販売業者は客からの情報をもとに見積りを作るのだが、実際に現場で作業するのは外注先の別の業者。現場のリアルな環境を知らないまま契約を結んでいるため、
「これはそのままじゃ取り付けられない」「こういう手続きが必要」などと、後から言われて結局、高額な金額を払うことになる。つまりネット上では“格安”を謳いながら、現実的には成立しない価格設定になっているケースも多いのだとか。

 T社長は「ネット販売業者のすべてが悪いわけではない」とことわりながらも、こう苦言を呈する。

「業界外からの新規参入者が増えたことで、トラブルが続出しているのは事実。そもそも彼らの多くは技術も知識も最初から持ち合わせていないことが多いわけです」

 ひどい業者になると、点検を装って訪問し、まだ使える給湯器をわざと不具合が出るような状態にして帰ることもあるという。

「ネジを緩めたりして、いずれ壊れるようにするんです。我々は専門知識があるから一発で見抜くけど、普通の方はまず気づかないでしょうね」

 こうなると、もはや“組織的詐欺犯”と呼んで差し支えあるまい。“ゴキブリ駆除”“下水道トラブル”“パソコン修理”などの悪徳レスキュー商法・点検商法が問題になって久しいが、それと同じようなことが給水機販売の世界でも行われているようだ。