■伏見の加入で激化虎の正捕手争い!

 しかし、坂本は自分の実力で批判の声を跳ねのけます。2023年、25年はゴールデングラブ賞を受賞。どちらの年もリーグ優勝し、25年は打撃も好調だった結果、ベストナインにも輝きました。

 さらに侍ジャパンのメンバーとして、WBCを闘ったのも記憶に新しいところです。彼の野球人生において、各球団のエース級とバッテリーを組んだ経験は、大きな財産になるはずです。

 昨年、坂本には、こんなエールを送りました。

「規定打席には達しなかったよな。正真正銘のレギュラーになるためには、そこをクリアしてほしい」

 捕手併用が当たり前の時代にあっても、坂本にはシーズン通してスタメンマスクをかぶる実力があると、私は考えています。

 しかし、タイガースは今季、日本ハムから35歳のベテラン捕手・伏見寅威を補強しました。球団や藤川球児監督の考えがあるんでしょう。昨年の日本シリーズの敗因を分析し、伏見を必要なピースだと判断したのかもしれません。坂本の負担軽減という意図もあるのだろうと思っています。

 伏見が、いかに素晴らしいキャッチャーかは、私も日本ハムの山田勝彦コーチから話を聞いていましたが、実際に彼を取材して納得しました。なにしろキャンプ前に、昨季のタイガースの全試合を見て、各投手の球種や特徴、そして坂本のリードを勉強したそうです。

 伏見もコミュニケーションを重ねて、投手との信頼関係を築くタイプ。球場の外でも、いろんな会話をしているようです。彼とバッテリーを組むことで、プラスの化学反応を起こす投手もいるでしょう。

 伏見の経験や技術は坂本だけでなく、チーム全体に好影響を及ぼすはずです。

矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。