■“ABEMAの番組は過激になりがち”な理由を元テレビ朝日プロデューサーが解説

 一連の騒動を受け、高橋がCMキャラクターを務めるライオン「ストッパ下痢止め」について、同社は5月11日、日刊スポーツの取材に対して《現在総合的に対応を検討しております》とコメントし、現時点でのCM放送は予定していないとしていたが、14日配信の同誌の記事には《総合的に判断してプロモーションへの活用は当面見合わせています。現在CMは放映しておらず、当初から予定もございません》とコメントをしている。

 高橋が複数の番組にレギュラー出演しているNHK広報局は5月12日、日刊スポーツの取材に対し、今後の番組出演について《現在のところ、出演予定に変更はありません》と説明し、人気キャラクター・コッシー役の声を務めている子ども番組『みいつけた!』(NHK Eテレ)への出演も継続の方向だという。

「そうしたなかで高橋さんが14日午前、木曜日レギュラーを務める情報番組『DayDay.』(日本テレビ系)に生出演。番組MCの山里亮太さん(49)とのやり取りの中で騒動に言及。高橋さんは、中山さんとしっかりと話し、もうわだかまりもなく、ご飯に行く約束をしていると話しましたが、ライトな感じにも取れた騒動の触れ方にはさまざまな意見が上がっていますね」(スポーツ紙記者)

 一気に収束に向かう感じではなさそうな今回の騒動。そんななか、芸能プロ関係者はこう話すのだ。

「今、芸能関係者、テレビマンの間で言われているのは、“ABEMAの番組は恐い”ということなんです。

 というのも、地上波テレビとビジネスモデルが異なる配信のABEMAは“再生数を稼いでなんぼ”ですからね。配信番組は、YouTubeなどもそうですが、視聴者を惹きつけるために内容や発言が過激になったりしがち。サムネイルもインパクトのあるものにしてクリックしてもらえるようにしている。スタッフもそういう意識で、“1回1回が勝負”という番組作りをしているため、配信系の番組ではたびたびこういった騒動が起こるんですよね……」

 元テレビ朝日プロデューサーで、ABEMAのサービス立ち上げに参画。『AbemaPrime』の初代プロデューサーを務めた鎮目博道氏はABEMAの特性についてこう話す。

「そもそもはテレビと同じようなサービスをやろうと始まったメディアですが、テレビと同じような番組を放送しても“じゃあテレビでいいじゃん”となってしまいますからね。ただ、YouTuberほどの自由度はない。テレビ朝日も関わるメディアですからね。

 YouTuberほど好き放題できるわけではないものの、地上波と同じでは見てもらえない――そんな中途半端な立ち位置にあると言えるのがABEMAです。ですが、視聴者は地上波に比べると圧倒的に少ないので制作費もそれほどかけられない。“じゃあどんな番組を制作しようか”となるとセンセーショナルな内容に、となりがちんです」(鎮目氏、以下同)

 ABEMAの番組の制作サイドが演者に対し、“地上波ではないので地上波と同じこと言ってもらっては困ります。地上波では言えないことも言っちゃってください”などと要求することもあると鎮目氏は語る。

「制作費が少ないですから映像やセットにこだわることはできません。そうすると“内容を過激にしよう”となってしまうんです。さらに若干炎上したとしてもSNSで話題になって拡散してもらわないと成立しないようなビジネスモデルでもあるんです。

 出演するタレント側も“テレ朝と同じことをやられても困ります。こっちではギアを上げてください”と言われたら“地上波じゃヤバいけどABEMAならいいか”と過激なエピソードを絞り出すことになるわけです。“地上波よりも視聴者は少ないよな……”と油断して、ギリギリのトークをすることもあると。

 何ならYouTubeよりも気が緩んでしまうなんて言うタレントもいますし、やはり炎上しやすいメディアと言えるでしょうね」

 中山、サバンナ・高橋のような炎上騒動が続くと、自社のタレントをABEMAには出したくないという芸能プロダクションも出てくるのではないか、という指摘もあるが、

「ABEMAには、まだ知名度の低いタレント、過去に不倫や大きな不祥事ほかスキャンダルを起こしたタレントなど、地上波の番組には出られないタレントも出演しますから、関係性を保っておくと、そういったタレントにも仕事がくることもあり、プロダクション側もABEMAを無下にはできないのが実情なんです。

 ただ、地上波で十分仕事があるタレントについては、そんなに積極的に出したくないという思いもあるでしょう。先ほど言ったように“過激な話をしてほしい”と言われることもありますし、一歩間違えれば今回のように大炎上しかねない。さらに共演者には過去にスキャンダルを起こしたタレントがいる場合もあり、そういったタレントに巻き込まれる形で炎上する可能性もありますからね。

 たしかに、芸能プロダクションからは警戒されている部分はあるので、タレントはおっかなびっくりで出演するというのが現状だとも思われますが……やはり、プロダクションとしてはABEMAとの関係性は保っておきたいというところではないでしょうか」

 鎮目氏は、ABEMAは配信番組であるがゆえに何度でも見られること、さらに視聴者層も地上波よりも若く、SNSを駆使する世代のため話題が広がりやすく、炎上するリスクが高いことも指摘する。

「今回のような大炎上がたびたび起こると、いよいよ良いタレントは出なくなるんじゃないかと……」(前出の芸能プロ関係者)という意見も上がるが、今回の騒動は、今後のABEMAの番組作りに影響を与えていくだろうか――。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)