■宮崎麗果被告の“7月判決”の行方は? 弁護士の見解
5月14日の被告人質問で《深く反省しています》と述べ、《2度と同じことを繰り返しません》と涙ながらに訴えた宮崎被告だが、7月にはいったいどのような判決が下されることになるのだろうか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に見解を聞いた。
――宮崎被告は罪を認め、反省と納税の意向を示し執行猶予を求めています。一方、知人に嘘の領収書を作らせたという事実もあります。裁判所はどのような判決を下すのか、見解をお聞かせください。
「本件は、単なる申告漏れではなく、知人に虚偽の領収書を作成させ、架空経費を計上したとされる点が重く見られます。“節税と脱税の違いがわからなかった”という弁明は、虚偽書類の作成依頼という事実とは整合しにくく、裁判所も慎重に見るでしょう。
他方で、罪を認め、反省や納税の意向を示している点は有利な事情です。現時点の報道を前提にすれば、実刑の可能性も否定はできませんが、拘禁刑2年前後に執行猶予が付く判断も十分あり得ると考えます」(正木代表弁護士、以下同)
――夫の黒木氏と離婚協議中という報道もありますが、宮崎被告は5人の子どもの母親でもあります。そのことは執行猶予がつくかにも関係してくるのでしょうか。
「子どもを育てる母であることは、執行猶予を判断する際の情状として考慮される可能性があります。実刑となれば、子どもの生活や監護体制(※編集部注:未成年の子どもを養育・保護し、日々の生活の世話や教育を行なうための体制や環境のこと)に大きな影響が出るため、裁判所も全く無視することはないでしょう。
ただし、家庭事情だけで結論が決まるわけではありません。脱税額、手口の悪質性、納税状況、反省の具体性(修正申告や追徴課税の支払い又は支払いの意思の表明など)が中心的な判断材料です。離婚協議中であることも、それ自体が決定的に有利になる事情ではなく、子どもへの影響、例えばワンオペ育児になることから母親を社会の中で更生させたほうがいいのか(執行猶予)、実家の支援はあるのかなどが裁判の中で具体的に示されるかが重要となってきます」
――検察は2年6か月を求刑しましたが、それを受けて、SNSなどには「執行猶予がつくだろう」という意見も散見されますが、その点についてはどのように考えられますでしょうか。
「求刑が2年6か月であることから、執行猶予が付く可能性があるという見方は、法律上は十分成り立ちます。刑法上、3年以下の拘禁刑であれば、情状により執行猶予を付けることができるためです。
ただし、求刑がこの範囲に収まっているからといって、自動的に執行猶予になるわけではありません。裁判所は、虚偽領収書の作成依頼、脱税額の大きさ、納税の実行状況などを総合的に見ます。今回の脱税額(約1億5700万円)は非常に巨額であり、実務上1億円を超える脱税は初犯でも実刑判決が下されるケースがあります。したがって、SNS上の見方には一理ありますが、結論を断定するのはまだ早いといえます」
――こうした脱税事件の場合、一般論として、当局の捜査後、どのような行為をすれば(しなければ)、執行猶予がつかない、実刑判決になる可能性が高まるのでしょうか。
「脱税事件では、発覚後の対応が量刑に大きく影響します。実刑の可能性を高めるのは、関係者との口裏合わせ、証拠隠滅、虚偽説明、資産隠し、納税の先送り、責任転嫁などです。特に、虚偽領収書を作成した相手に口裏合わせのために働きかけるような行為は、反省がないと評価されやすく危険です。
逆に、起訴事実を認め、不足税額、加算税、延滞税の納付を進め、税務申告時や日常の経理の体制を見直すことは有利に働きます。謝罪の言葉だけでなく、納税と再発防止を具体的に示せるかが重要です」
判決が下るまで、あと約2か月――。
正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや交通事故・労働問題・相続・詐欺事件・薬物事件など民事事件から刑事事件まで幅広く多数手掛ける。
BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、ユア・エース公式チャンネル「ちょっと気になる法律相談」では知っておきたい法律知識を配信中。
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