■「お嬢さんが反省することは何一つありません」専門家の見解

――一般論として、父親が子どもに暴行を振るい、子どもが児童相談所に連絡。そこから110番通報で警察が駆けつける。こういうことはよくあるんでしょうか?

「児童相談所が警察に通告しなければいけない、という基本ルールはあります。ですが、それはケガが酷いとか、明らかに虐待だと分かるときなんです。虐待を発見したら通告義務があるんですが、必ず警察に通報しなければいけないかというと、そうでもない。生命や身体の危機がない場合は、通告しない場合もあります。だから、通告しないほうが一般的ではありますね」(池内さん、以下同)

――今回の通報は、娘さんがchatGPTに相談し、回答結果に基づいて児童相談所へ通報したことがきっかけだとも報じられています。また、娘さんは通報したことを反省していると報道されています。

「今どきですよね……。お子さんとしては、警察に行くとお父さんの社会的立場上まずいことが起きると思って、秘密裏に守ってほしいと思ってchatGPT経由で児童相談所に連絡を取ったのかと。ただ、児相から警察への通告義務があることを知らなかったので、それも後悔しているのかもしれませんね。

 ちなみに、今回は違いますが、一般論として子どもが児相に連絡するというのは、虐待が常態化している場合が多いです。

 そして、暴力が1度目であれば、子どもは近所の派出所に行くものです。“大きい警察署”が怖くて、なんとなく顔見知りの、最寄りの派出所に行くことが多いんですよね。それでも暴力が常態化していたら、児童相談所に連絡をするという流れが多いです」

――阿部前監督は呼気検査の結果、アルコール反応が検出されたと報道されています。あくまでも一般論として、アルコールが入ったことでこうした事態になるケースはあるのでしょうか?

「それはありますね。喜怒哀楽のタガが外れるのがアルコールですから。あと、酔っていると、受ける方も普段よりプレッシャーも強く感じるものなんです」

――妹とのけんか、そして通報したことに反省していると報じられている長女、阿部前監督への必要なサポートとしてはどういうものが考えられますでしょうか?

「まず、お嬢さんが反省することは何一つありません。まだ10代のお子さんが、親の社会立場を考えて、通報したことを後悔している。これはすごく大人な考え方なんです。

 自分が怖い思いをしたことを、素直に他者に伝えた。これ自体は、反省することではないと思います。ケアするのであれば、“反省しなくていい。後悔しなくていい”と言ってあげることですよね。今回の場合は、“歪んだ形”での通報というわけでもないですからね」

――歪んだ形とはどういうものでしょうか?

「親への復讐とか、恥をかかせてやろうと通報するケースもあるんです。ですが、今回は違うと思いますから、純粋に被害を受けて怖かったことへの共感・ケアが必要だと思います。

 阿部前監督は辞任をされましたね。決断の速さは潔いと思います。これから家族との時間をより長く過ごすことになると思いますので、見守りたいですね……」

 多くの家庭にとって、今回の騒動は決して他人事ではないだろう。

池内ひろ美(いけうちひろみ)
1961年生まれ。家族問題評論家。吉本興業所属。一般社団法人ガールパワー(Girl Power)代表理事。家族メンター協会代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。これまで約4万人のカップルの結婚・離婚相談に乗ってきた。1996年より「東京家族ラボ」を主宰。『とりあえず結婚するという生き方』『妻の浮気』など著書31作品。