日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。5月31日の日本ダービーではゴーイントゥスカイに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。
(以下の内容は2026年5月25日に寄稿されたものです)
今年初参戦となった5月16日の新潟競馬は、2025年にデビューした谷原柚希騎手を除くJRA所属の女性ジョッキー……古川奈穂騎手、永島まなみ騎手、今村聖奈騎手、小林美駒騎手、河原田菜々騎手が勢ぞろい。
さらに、典さん(横山典弘騎手)に、ヤスナリ(岩田康誠騎手)、それに僕のおっさんジョッキーに加え、アラフィフのクリストフ(ルメール騎手)も加わり、入場人員も前年比127.5%と大幅アップ。スタンドも大盛り上がりでした。
僕が大きな歓声をいただいたのは、アークドールとのコンビで臨んだダート1800メートルの10R中ノ岳特別です。道中は最後方で脚を溜め、直線で大外に持ち出すと一気に爆発。ゴール前での勢いはこちらにありましたが、勝敗の分かれ目は首の上げ下げです。
勝ったはず……と思いましたが、気になったのは、アークドールの首の短さでした(笑)。
写真判定の結果は、ハナ差での差し切り勝ち。スタンドから響く、“ユタカ・コール”は、本当に気持ち良かったです。
続くメインレース、約2年ぶりの実戦となったキタサンブラック産駒のシュガークンと挑んだGIII新潟大賞典は、最後の最後に力を使い果たしてしまい、最下位の15着。応援してくださった方の期待に応えることはできませんでしたが、直線半ばまでは、さすがのスピードで、次戦以降に期待が持てそうな走りでした。
新潟から東京に移動した5月17日のメインは、最強牝馬決定戦のGIヴィクトリアマイル。パートナーは、エピファネイア産駒のエリカエクスプレスです。
2枠4番からスムーズに発馬。先手を取って、レースをコントロールするという展開は、思い描いていた中でも、ほぼ理想に近い形です。
“このまま、このまま……あと少しだけ頑張れ”
僕の思いに応えるかのように、馬も最後の最後まで全力で走ってくれましたが、東京の直線は、ちょっと長すぎました(苦笑)。