日本の自動車業界がもっとも華やかだった80~90年代。俺たちが “乗った・乗りたかった” あの一台をプレイバック!
穏やかで自然体の外観デザインと丸みのあるシンプルな内装は今でも古さを感じさせない
■好景気の時代に速さや豪華さを求めない価値観が新鮮
1980年代は、好景気に乗り、クルマの先進技術が急速に進化した。エンジンではターボやツインカムが採用され、走行安定性や乗り心地を変化させる減衰力が可変式のショックアブソーバー、後輪の安定性や小回りの利きを向上させる4輪操舵などが登場した。これらの先進技術を備えたクルマの価値観は、豪華で速く走れること。ライバル同士が競争して、売れるクルマ造りに力を入れた。
しかしすべてのユーザーが好景気を反映させた豪華で速いクルマを求めるわけではない。もっと穏やかな自然体のクルマを好むユーザーもいた。そのようなニーズに向けて開発されたコンパクトカーが日産Be-1だ。
丸型ヘッドランプを備えたフロントマスクには愛敬があり、水平基調でありながら、ボディの各部に丸みを付けた。プラットフォームは初代マーチと共通で、エンジンは直列4気筒1Lだ。最高出力は52馬力、最大トルクは7.6kg-mだから、今の軽自動車と同等になる。従って走りは平凡だが、個性的で遠方からでもBe-1と認識できた。約40年前のクルマだが、今でもデザインの古さを感じない。
ステアリングホイールのスポーク、メーター、エアコンの吹き出し口などは、すべて丸型のデザインだ。シンプルだが質感に不満はない。
シートは丸みのあるデザインで、シート生地はニットだから、座り心地は柔軟でリラックスできる。ヘッドレストの形状も個性的だ。
直列4気筒1Lエンジンは、動力性能は高くないが扱いやすい。キャンバストップの価格は5速MTが139万3000円、3速ATは144万8000円だ。
全長は3635mm、全幅も1590mmに収まり、視界も良いから運転しやすかった。優しい表情のフロントマスクなどは古さを感じさせない。
Be-1は少量生産が前提の商品で、発売時の販売計画も、1か月に400台と少なかった。しかしデザインに魅力があるため、少数ではあるが中古車市場にも流通している。中古車価格は120〜180万円が中心だから、特に割高ではないが、パーツの入手には気を付けたい。