■近所にアイスを配っていた“指示役” 夫婦
一方、指示役とされる竹前容疑者夫婦の自宅は、横浜市港北区にあった。1棟の中に4戸分の部屋がある、ファミリー向けの2Kアパートだ。住民の1人は、夫婦の印象について言う。
「あの夫婦は、ご挨拶すれば返事も返してくれたし、奥様も赤ちゃんを育てていて、今どきのニューファミリーみたいに私は思っていました」
一部では、海斗容疑者が運転する車がバイクと接触するトラブルが報じられた。
「確かに人身(事故)だろうから、警察も来ていました。でも、その後、騒ぎを謝るためにアイスを配っていました。お礼を言ったら、ちゃんと返答してくれたし、変な印象はないんですよ」(前同)
ただ、アパートの近くに住む別の住人は、違った印象を持っているようだ。
「駐車場でバイクとの接触事故を起こしたときはパトカーが3台も来ていました。警察官と路上で言い争いになっていたのは、このへんのみんなが知っています」
また、今回の事件で少年らが乗っていたとされる白いBMWについても、近所で噂の的になっていた。
「“路駐したままで全然、動かない車だよね”と話していました。片方のライトが壊れているのは、私は知らなかったですけど。途中から、路駐違反のステッカーが貼られたみたいですよ」(前同)
竹前容疑者夫妻と実行犯の高校生4人は、どのような関係だったのか。
「海斗容疑者と、もともと知り合いだった高校生の1人が、仲間を集めさせられたようです。高校生は夫婦から“断れば家族を殺す”と脅されていたという話もある」(民放報道部記者)
実は最近、闇バイト加担者の若年化が急激に進んでいるという。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、その理由をこう話す。
「昨年から警察庁は“雇われたふり作戦(仮装身分捜査)”といって、わざと犯罪グループと接触を図る、おとり捜査を展開しているんです。
昨年度は5人の逮捕につなげるなど、一定の成果を挙げています。ただ、それにより、闇バイトの雇う側が応募してきた相手を“実は刑事では?”と疑う、疑心暗鬼に陥ったんです」
そこで取られた対策が、中高生を雇うことだった。
「高校生を1人掴まえて、“同級生を連れてこい”と言えばいいわけです。10代の刑事なんて、いるはずないですからね。こうして、栃木の事件のように、犯人全員が高校生という素人犯罪集団ができてしまっているんです」(前同)
警察をあざ笑うように、進化を続けるトクリュウ。では我々はいったい、どうやって我が身を守ればいいのか?
【中編】と【後編】では、識者の助言のもと「命を守る緊急10か条」を紹介する。
【中編】では、トクリュウが事前の情報収集のためにかけてくる不審な電話の「決まり文句」や、栃木の事件でも行われていた“下見犯”への対策、強盗に襲われない環境作りなどを専門家たちが詳しく解説している。《【中編】はこちらから》
小川泰平(おがわ・たいへい)
1980年4月から2009年12月まで神奈川県警察の警察官を務め、警察局長賞や警察本部長賞などを受賞。現在は、犯罪ジャーナリストとして多数のメディアに出演中。