■予告編に残されていた重大ヒント
その疑問を晴らす重要なヒントが、公式サイト第9話の予告映像にある。
《え、これ31年前のシーンだよね? ふみ、立ってるんだけど……》
映像を見た視聴者がこう指摘するように、31年前、山岳事故によって車椅子生活を送っていたはずのふみ(仙道)が、なんと立っているのだ。
田鎖家と火災が起きた工場の位置関係から、両親殺害後でも、走れば消防到着までに工場に戻ることは可能。田鎖兄弟は、その可能性を茂木に当てはめていた。しかし、当時のふみが車椅子生活を偽装していたとしたら、犯行の可能性は、同じく火災に巻き込まれていたふみにも当てはめることができる。
第9話の予告映像では、茂木が中華料理店の厨房で辛島貞夫(長江英和/67)らしき人物に詰め寄られている。画面に映る茂木は眼鏡をかけていないことから映像は31年前と見て間違いないだろう。二人の様子を自らの足で立つふみが眺めているのだが、その表情は、どこか意を決したようにも見える。
ラストシーンで、茂木は変死体となって発見される。死の直前、茂木は田鎖兄弟のもとに荷物を送る。中身は、拳銃だ。ただ、一度ふみに手渡した拳銃を茂木が奪い返したとは考えにくい。もう1つ別の拳銃が、茂木の手元にあったのではないか。
それは、“あの一家を処理しろ”と命令された時に手渡された凶器だった。しかし茂木は、使いたくなかった。そして、使わなかったのだ。実際の犯人は、刃物で田鎖夫婦を殺害している。真犯人は、茂木ではない。31年の時を経て見つかった拳銃を茂木に奪わせたふみこそが、事件の真犯人なのではないだろうか──。
次週第9話、田鎖兄弟は、事件の関与が疑われる小池(岸谷)の謎と、逃亡した辛島夫婦のあとを追う。さらに、2人が共に警察官となった本当の理由が明かされる。残り数話となった物語は、一体どんな結末を迎えるのか。最高潮に達した考察欲を抱えながら、次週も目が離せない。
ドラマライター・ジュン
幼少期から映画を観ることが好きで、物語そのものの面白さはもちろん、「この作品はどうやって作られているのか」という裏側にも強く惹かれてきた。過去にはドラマや映画のロケーションコーディネーターとして現場に携わり、ロケ地選びや撮影準備などを通して、作品作りのリアルを肌で学んだ。そうした経験を重ねるなかで、俳優の芝居、演出、脚本、美術といったさまざまな要素が積み重なり、ひとつの映像作品として立ち上がっていく瞬間に、ますます心を奪われるように。いまは旬のドラマや映画を欠かさずチェックしつつ、張り巡らされた伏線や演出意図を読み解きながら、物語の核心やその先の展開に思いを巡らせる時間を何より楽しみにしている。