■視聴者がついていけない『今夜、秘密のキッチンで』
ファンタジーから不倫ドラマにチェンジしたのはいいが、とにかくネタがてんこ盛りな本作。産地偽装、殺人疑惑、渉(中村)とあゆみ(木南)の友だちとの不倫、バイク事故の黒幕、藤子(瀧本)の大ケガ、娘・陽菜(吉田萌果/11)と実母・真希子(福田ユミ/44)との行く末など、風呂敷を広げすぎて、これをどう畳むのか見ていて心配になる。
さらに、キャラそれぞれの行動が不可解だ。慧はあゆみと一緒にいたいと言っていながら、元恋人の藤子を支えたいと言っているし、あゆみもさっさと坪倉家を出ていって、慧と逃げればいい話。一方で藤子も、渉の産地偽装は妻のあゆみにも責任があると言い出す理不尽ぶりで、加藤シェフ(YU/31)がひたすらあゆみの味方をしてくれるのも、意味がわからない。
そもそものスタートはファンタジーで、それではシンプルすぎるとネタを盛り込んだところ、それが散らかってしまった。また、ネタ優先で展開したゆえに、キャラの感情が置いてけぼりになった。このへんが、急な不可解展開の理由だろう。これならいっそ、幽霊と人妻の恋という、ファンタジー路線を貫いたほうが見やすかったのではないだろうか。
X上のラストの予想には、《あゆみさんが慧も夫もすべて投げ捨ててひとり自由の身になるエンドとかあります???それはまあそれで良いと思う》などの声があるが、はたして広げた風呂敷をどう畳むのか? あゆみと慧が結ばれるかどうかより、正直、そちらのほうが気になってしょうがない。
(ドラマライター・ヤマカワ)
ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。